貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展 中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―
奈良国立博物館|奈良県
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中将姫さまに出会える旅…
一度、じっくり見たいと思っていた《綴織當麻曼荼羅》を思う存分拝見できたことが、何よりの大収穫であった。曼荼羅に描かれている舞手付きの奏楽図は、「敦煌莫高窟の壁画」にも類似したものを見たように記憶しているが、いずれ比較してみたいと考えている。
また、《當麻曼荼羅》《阿弥陀三尊来迎図》など、同内容を描いた各時代の作品が残されていることには目を見張った。熟覧していると、少しずつ表現が異なることがわかり、なぜかとても優しい気持ちになる作品ばかり…という不思議な共通点を兼ね備えていた。表現や手法は異なれど、制作する心理的な背景に共通するものがあるからであろうか。結果的な「比較展示」を通し、このようなことを考えていた。
それから…ひとつ。《當麻寺曼荼羅縁起》光明寺(神奈川)所蔵が、前期と後期で展示替え…という点はとても残念であった。展示室内のどこを探しても「続き」がなく、尻切れトンボのような心残りの展示。「後半は後期に展示」と展示ケース内に表記してほしかった。
一方、最後の章では、能楽、歌舞伎、文楽などの芸能をはじめ、明治時代の薬の広告や引札に至るまで、中将姫に関連する一連の広がりも示され、とても興味深く感じた。
能楽では、若かりし頃の中将姫を描いた演目「雲雀山」と、極楽に往生して菩薩となった中将姫を描いた「当麻」の二曲が現行曲という。機会をみつけて能楽や文楽、歌舞伎などの芸能も拝見してみたいと思った。