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貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展 中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―

貞享本當麻曼荼羅修理完成記念 特別展 中将姫と當麻曼荼羅―祈りが紡ぐ物語―

奈良国立博物館|奈良県

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《當麻曼荼羅》が繋がった展覧会。當麻寺へ、「練供養」へでかけたい。

夏の奈良は鹿さんの落し物が発酵して臭うので、出かけるのに躊躇する。ましてやコロナの感染者が急増しているこの時期は。
そうこうしているうちに展示替えで後期展示になり、お盆が近づき、その前には出かけなくてはと意を決して出かけてきました。
(帰宅後はいつものように3日間は家庭内自主隔離)
展示室入って正面には、當麻寺曼荼羅堂(本堂)に安置されている《中将姫坐像》が座し、右手には大きな黒漆塗に蒔絵で蓮池が描かれた国宝《當麻曼荼羅厨子扉》。この国宝《當麻曼荼羅厨子扉》は、「奈良時代末に安置された厨子に、鎌倉時代の修理時に取り付けられた扉」で、扉の裏面下方に修理に結縁した人の名前が記されています。その中には私もどっぷりつかっている大河ドラマの頼朝や北条泰時の名もあり、お隣から「坂口健太郎くんや!」確かに・・・。

1260年前に現れた(と奈良博のHPでも説明されている)奈良・當麻寺の本尊である「綴織當麻曼荼羅」(国宝 8世紀)はたくさんの写しが作られてきました。
江戸時代貞享年間に製作された「根本曼荼羅の精巧な写し」が《貞享本當麻曼荼羅》です。本展はこの《貞享本當麻曼荼羅》の大規模修理を終えてのお披露目の展覧会です。
現在、當麻寺には室町時代に根本曼荼羅と同サイズで作られた写し 重要文化財《當麻曼荼羅(文亀本)》が「曼荼羅堂に祀られ、當麻寺のご本尊として仰がれています。」(當麻寺HPより) ※重要文化財《當麻曼荼羅(文亀本)》は、2013年に奈良博で開催された「當麻曼荼羅完成1250年記念 當麻寺―極楽浄土絵へのあこがれ―」で期間限定で展示されていましたが、その展覧会に出かけたさえ私は覚えていません。

江戸時代に當麻寺を参詣した京都・大雲院の僧性愚が《綴織當麻曼荼羅》が痛んでいることに心を痛め、《文亀本當麻曼荼羅》と共に修復を行った上で、これらの正確な写しを同寸大で制作したのが《貞享本當麻曼荼羅》です。《根本曼荼羅》は《綴織當麻曼荼羅》と呼ばれているように織物ですが、《貞享本當麻曼荼羅》は「絹本着色」つまり絹に描かれたものです。中世に修復されて「綴織當麻曼荼羅」は、板貼りとなっていました。それを江戸時代の修復時に板から剥がし、再び軸装に改められました。この時するりと板から剥がれたそうです。そのはがした板面にうっすらと曼荼羅の図様が残ったものが「裏板曼荼羅」で、8月末まで當麻寺で公開中です。根本曼荼羅を板から剥がす際に、表側に張り付けた紙に移った阿弥陀三尊像が「印紙曼荼羅」3幅(京都・西明寺)で、本展で展示中です。修復から10年もの歳月をかけ霊元天皇の宸筆を得て《貞享本當麻曼荼羅》は完成ししました。
この度大修理を終えて美しくよみがえった《貞享本當麻曼荼羅》眩いばかりの極楽浄土が目の前に。
「中央に極楽浄土を、向かって左側は『観無量寿経』に説かれる韋提希夫人の物語、右側には釈迦が説いたという阿弥陀浄土を観想する方法である十六観想のうちの十三観想、下方には十六観想のうちの最後の三観である九種の往生を九品来迎図として表しています。」(cf:『1000年遠忌 源信 地獄・極楽への扉』図録 解説から)
本展では、根本曼荼羅と文亀本の修復時に納められた軸内納入文書と共に、貞享本の軸内納入文書が展示されその詳細を伝えています。

當麻曼荼羅は、中将姫が一夜で織り表したという伝承が伝わり、シンデレラや白雪姫と同じ「継子いじめ譚」で、継母から逃れ命を取り留めた貴族の娘が、『称賛浄土教』1000巻を写経して當麻寺で出家しました。阿弥陀如来と観音菩薩の化身が現れて、中将姫がその言葉に従い蓮の糸を集めて織り上げたのが《綴織當麻曼荼羅》です。中将姫は29歳で女人として生身のまま極楽浄土に往生したとされています。このお話は、浄瑠璃、謡曲、文楽、歌舞伎などの題材になり今に伝えられています。
ナント!村順天堂(現・ツムラ)さんは、中将姫が作り方を伝えたとされる婦人薬 「中将湯」の販売から始まったそうで、「12日から平日の来館者先着100名に中将姫ともゆかり深いツムラ様からご提供いただきましたバスハーブの試供品をプレゼント」だそうです。

《貞享本當麻曼荼羅》見たことある!そして川島織物セルコンさんの綴織実演も見たなぁと思い出しました。
来迎図をいっぱい見た夏2017年の『1000年忌特別展 源信 地獄極楽への扉』で、今回の修理前の《貞享本當麻曼荼羅》が展示されていました。『往生要集』
を著した源信(942-1017)は、奈良の当麻で生まれ育ち、《綴織當麻曼荼羅》を幼き頃より目にしていました。もう一つは、一生忘れられない展覧会となった2018年の『糸のみほとけ―国宝 綴織當麻曼荼羅と繡仏―』ひと針ひと針に願いが込められた数多の「繡仏」に深く感動した展覧会で、この展覧会に平成26~29年度の本格修理を終えた国宝《綴織當麻曼荼羅》が初めて公開された展覧会でした。

葛城の地はまぁまぁ遠くて、コロナ禍でますます足が遠のいていました。當麻寺へ、4月14日に行われている「練供養」へ出かけたい。

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