4.0
見たことのない世界
佐藤健寿さんの展覧会と聞き、どんなおもしろい不思議なモノと出会えるのか期待を胸に訪れた。シュールさは想像していたが、見たことのない世界の片隅で紡がれる日々の暮らし。そこで暮らす人には普通の場所でいつもの生活。だが、初めて見る人にとってはとても珍しく、奇とも映る。
今回の作品展の観覧後は、より広くそして深く感じ、思い巡らせることでテーマとなっている「自分にとっての普通とは一体何か。」に向き合うきっかけとなった。
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これまで世界120カ国以上を巡り、各地のありとあらゆる“ 奇妙なもの” を対象に、博物学的・美学的視点で撮影と執筆活動を行ってきた佐藤健寿(さとうけんじ 1978年-)。佐藤の造語をタイトルとして2010年に出版された写真集『奇界遺産』は空前の人気を博しました。
本書に収録されている写真は、多様な文化や建築、自然が生んだ奇景、奇妙に見える風俗を持つ人々など、世界各地に存在する不思議なもので溢れています。
本展では、佐藤健寿の代表作『奇界遺産』、シンプルな視点で世界を捉えた2021 年の新刊『世界』、写真表現の新たな可能性を示した『SATELLITE』、さらに本展のために西宮市周辺を空撮した新作を展示します。
「真なる発見の旅とは、まだ見ぬ景色を探すことではない。世界を見る新たな目を、見つけることだ。」。『世界不思議地図』の序文で佐藤が引用した言葉に語られるように、この展覧会が来館者の皆さんにとって、新しい世界を見つける旅への一つのヒントになることを願って止みません。さぁ、スリリングな写真に導かれて、まだ見ぬ世界へ旅立ちましょう!
会期 | 2022年4月2日(土)~2022年6月5日(日) |
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会場 |
西宮市大谷記念美術館
![]() |
住所 | 兵庫県西宮市中浜町4-38 |
時間 | 10:00~17:00 (最終入場時間 16:30) |
休館日 |
水曜日 ※ただし5月4日(水・祝)は開館 |
観覧料 | 一般 1,200円(1,000円) 高大生 600円(400円) 小中生 400円(200円)
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TEL | 0798-33-0164 |
URL | http://otanimuseum.jp |
4.0
佐藤健寿さんの展覧会と聞き、どんなおもしろい不思議なモノと出会えるのか期待を胸に訪れた。シュールさは想像していたが、見たことのない世界の片隅で紡がれる日々の暮らし。そこで暮らす人には普通の場所でいつもの生活。だが、初めて見る人にとってはとても珍しく、奇とも映る。
今回の作品展の観覧後は、より広くそして深く感じ、思い巡らせることでテーマとなっている「自分にとっての普通とは一体何か。」に向き合うきっかけとなった。
3.0
佐藤健寿の捉える「奇界」は比較的鮮やかな色彩感なのだが、整然とした印象を受けるのは彼の撮り方の特徴のようだ。「奇界遺産」という造語は、たしかにそのグローバル感と珍奇さが際立つ。一方その奇妙さが土地風土によっては「普通」なのだとすると、写真が捉えた世界像はある意味それを伝えるのに適したメディアだということになるだろう。
佐藤氏もいうように、写真特有の抽象化によってフラットに凍りついた情景は、じっさい絵画よりも無口に思えたが、逆に情報過多なのだとも思えた。画面全体が叫び声を挙げているに等しい状態とも喩えられるだろうか。それはたぶん静まり返ったかにみえる孤高の奇妙な風景が、実際は多くの人々に共有された時間が染みついた「普通」の情景であったことを示しているからかもしれない。
展覧会の最初に、作家が撮影の旅に出るために使用していたパスポートが展示されていて、いかにも世界旅行を演出する展示ではないかと思ったのだが、思いのほか世界旅行をしたような鑑賞体験は希薄だった。物珍しい習俗や景色に囲まれた展示室がどういうわけだか異国性を喚起しない。もちろん、解説文や民族学博物館からの現物展示が認識あるいは知識としてはそういった雰囲気を誘発しようとはしている。しかしやはり、私は「今ここ」から離れることができなかった。
「真なる発見の旅とは、まだ見ぬ景色を探すことではない。世界を見る新たな目を、見つけることだ。」と佐藤氏は言っている。なるほど私は作者の意図した発見の旅へ誘われていたのかもしれない、とこの言葉を見て納得した。写真の無口さは、逆に雑多な叫び声の中からどのような声を聞き分けるかを私に問いかけている。写真が捉えた奇妙さは、一見したときの奇妙さというより、私自身の「目」が、あるいは想像力が持つ「奇妙さ」の可能性をこそ、封じ込めているのかもしれないと思うと、じりじりとした興奮が湧きあがってきた。
5.0
最後のインタビュー動画で佐藤氏が自らそう語られた通り、我々もそれを追体験できます。
謎の文化圏の謎の姿をした人物から、なぜそこに住む?と思われる町や村、なんでこれを集めようと思った?でいっぱいの博物館。横につけられた説明文は『寄界遺産』からの抜粋と思われるので、おそらく佐藤さんがご自身で書かれているものでしょう。佐藤さんの独特の表現から彼の人物像が垣間見えて楽しい。北極圏の人々の毛皮の服や、ガ族の棺桶などの実物の展示もあります。
動画のコーナーもあり、圧巻の風景や、祭りで踊る人々、それを熱心に撮る佐藤さんの姿。DVDで販売していたら買いたかったぐらいです。
売店のグッズは少ないながらもツボを押さえたラインナップでかわいい。正直もっと品数展開してほしいぐらい。¥2,500以上のお買い上げでポスターをプレゼント、とのことで思わず買ってしまいました。
写真とは本当に撮る人の感性が出るものだな、と感じます。『世界遺産』とは違い確かに奇妙なものもありますが、「その人々にとってはそれが『普通』。そういったものと我々が感じる『普通』との違いは、なんだ?」と語る佐藤さんの暖かい目線が感じられ、この写真展は佐藤さんの人間賛歌だと思いました。
最後に美術館のお庭を一周。水琴窟があり、私は初めて聞きました。あんなにずっとメルヘンな音がしているものだとは。
3.0
他の美術館がお休みの月曜日、新緑が眩しい夙川散歩のつもりでお出かけしてきたのですが
テレビにもご出演なさっていたそうな「佐藤健寿」氏を全く存じ上げず、
何種類もあるケッタイな写真のチラシの展覧会があったなぁくらいの気持ちで出かけた私は(*_*)でございました。
そういえば展覧会のタイトルもちゃんと見ていなかったかも。
それは「奇怪の世界」ではなく「奇怪/世界」でした。
展示されている”キッカイ”な写真の何倍もの地へ旅されてきたのでしょう。
みんぱく(国立民族学博物館)からお面などが展示され、そう言えばこの世界はある種「民族学」にも通じ、
2019年に”みんぱく”で開催された「特別展「驚異と怪異-想像界の生きものたち」も思い出します。
コロナ禍は佐藤健寿氏にとってこれまでの仕事の一時の整理期間と次への準備期間となっているのかも。
さぁて、次はどこへ・・・
ベタなタイトルで恐縮だが、この展覧会を言い表すには最も的確なフレーズだ。
この世にはいろんなとこがあるもんだ。
この展覧会見てつくづくそう思った。
佐藤健寿氏もその作品も私は全く知らず、展覧会の告知写真のマンモス見て、面白そ…readmore
クレイジージャーニーに出演していたのをきっかけに写真家の佐藤健寿氏に興味を持ち、「奇界世界」を観てきました。
私は佐藤氏の写真集、奇界遺産や世界などを購入して知っていましたが展覧会で見る写真は構成も異なり魅了されました。
…readmore
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