5.0
イメージでは時空を超えました。なかなか味わえない極上のひと時でした。
会期終了間近ながら予約制もあってか、さほど混雑もなく、じっくり堪能出来ました。今は無き京都の室町幕府足利将軍の館。その中でも特に重要な、人々が集った会所と呼ばれる建物。そこを飾った襖絵の展覧会です。移動可能な襖絵や屏風絵は、寺院などでも非難させられ火災を免れ、現在も目にすることのできるものも数ある様ですが、室町将軍の会所襖絵に現存するものは一点もなく、時代を代表する画家たちの手で描かれた力作揃いであるはずの会所の襖絵を、現在は目にすることはできません。当然写真も模写もない。しかし残された文献から、どのような画題の絵が描かれていたかを知ることができるとし、また、襖絵と画面の規模と形式が近い屏風絵によって、復元的に想像することも可能、との観点から、本展は、特に詳細な文献が存在する6代義教、8代義政の会所の襖絵を、文献を考察し、足利将軍邸会所襖絵における典型的な画題を選び、室町後期から江戸時代に制作された屏風絵を集め、展示することによって、〈将軍家の襖絵〉の世界をよみがえらせる、という、かなり変わった展覧会です。展示された作品はかなり贅沢で凄い作品が並び、まさに圧巻。なかなか見ることのできない西日本の名美術館所蔵の作品たちなどは、たぶんもう二度と見ることのできないものもあるだろうと、しっかりと二度、展示室を回らせていただきました。上階の中国堆朱も素晴らしかったです。根津美術館は庭園も素晴らしいく、殊に紅葉のこの時期は見事です。で、庭園に出ると、庭園のみの入場のなのでしょうか、外国の方々がとても沢山いらして、盛んにスマホやらカメラやらで写真を撮っていらして、ちょっと歩きづらくもありました。