5.0
香月泰男の回顧展
香月泰男の代表作、シベリアシリーズを含む、戦前、戦後の作品を網羅しており、作風の変化もみてとれる。
黒と黄土色の単色から色が戻ってくるまでの時間の長さから、シベリア体験の辛さがしのばれる。
ウクライナ問題がある現代に鑑賞すると、1945という作品の解説にある、戦争加害者にならないことが大切であるということを忘れず、シベリアシリーズを沢山の人に観て、考えて欲しい。
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太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描いたシベリア・シリーズにより、戦後美術史に大きな足跡を残した香月泰男(かづきやすお 1911-74)の画業の全容をたどる回顧展を開催します。
山口県三隅村(現・長門市)に生まれた香月泰男は、1931年に東京美術学校に入学し、自身のスタイルの模索をはじめました。1942年に応召し、復員した1947年以降は、故郷にとどまって身の回りのありふれたものをモチーフに造形的な挑戦を繰り返しました。1950年代後半に黒色と黄土色の重厚な絵肌に到達した香月は、極限状態で感じた苦痛や郷愁、死者への鎮魂の思いをこめて太平洋戦争とシベリア抑留の体験を描き、「シベリアの画家」として評価を確立していきました。
シベリア・シリーズは応召から復員までの主題を時系列にならべて紹介するのが一般的であり、そこではシベリア・シリーズのもつ戦争と抑留の記念碑としての側面が強調されてきたといえるでしょう。しかし、実際の制作の順序は、主題の時系列とはおおきく異なっています。
本展では、シベリア・シリーズを他の作品とあわせて制作順に展示します。この構成は、一人の画家が戦争のもたらした過酷な体験と向き合い、考え、描き続けた道のりを浮かびあがらせるでしょう。戦争が遠い歴史となり、その肌触りが失われつつある今、自身の「一生のど真中」に戦争があり、その体験を個の視点から二十年以上にわたって描き続けた、「シベリアの画家」香月泰男の創作の軌跡にあらためて迫ります。
会期 | 2022年2月6日(日)~2022年3月27日(日) |
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会場 | 練馬区立美術館 Google Map |
住所 | 東京都練馬区貫井1-36-16 |
時間 | 10:00~18:00 (最終入場時間 17:30) |
休館日 |
月曜日 3月22日(火) ※ただし、3月21日(月・祝)は開館 |
観覧料 | 一般 1,000円 高校・大学生および65~74歳 800円 中学生以下および75歳以上 無料 障害者(一般)500円 障害者(高校・大学生)400円 団体(一般)800円 団体(高校・大学生)700円
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TEL | 03-3577-1821 |
URL | https://www.neribun.or.jp/museum.html |
5.0
香月泰男の代表作、シベリアシリーズを含む、戦前、戦後の作品を網羅しており、作風の変化もみてとれる。
黒と黄土色の単色から色が戻ってくるまでの時間の長さから、シベリア体験の辛さがしのばれる。
ウクライナ問題がある現代に鑑賞すると、1945という作品の解説にある、戦争加害者にならないことが大切であるということを忘れず、シベリアシリーズを沢山の人に観て、考えて欲しい。
4.0
偶然ではあるが、現下の世界情勢、ロシアのウクライナ侵攻と何かシンクロを思わせる展覧会。
画家自身のシベリア抑留体験を主題とした、ほとんど黒と黄土色の沈鬱な「シベリア・シリーズ」で有名。方解石と木炭の粉を混ぜたマットなマチエールと平面的な構図は日本画の感性を含んでおり、独特な画風を確立した。初期のペインティングナイフで引っ掻いたマチエールも魅力的。
撮影が不可なのが惜しい。
4.0
「シベリアシリーズ」を観たくて行ってきました。
先に、ちょっと気になった点を
作品横の解説が、字が小さいし位置も低い。
しゃがんで読んでる人もいるくらい。
コピーがもらえますが、作品と照らし合わせながら読むのは、絵に集中しにくい。
家で読むには良かったのですが、モヤモヤしました。
さて、「シベリアシリーズ」は、香月の30代前半の体験をもとに描かれています。
絵肌にこだわり、色と形を究極に削ぎ落とした表現は、重厚で神聖なものを感じました。
一方その表現は、人物が描かれていないと、モダンな抽象画のようで、夜空に星?と思ったら、月明かりに反射する有刺鉄線だったり。
やっぱり、解説は作品に近い方がいいと思うんですが。しつこくてスミマセン。
そんな中、とくにドキっとしたのが、
『朕』
真っ暗な中、男たちが目を見開いてこちらを見ています。
極寒のシベリアで上官が軍人勅諭を読み、兵は凍傷にならないよう足ぶみを続けながら聞く。
誰かに自由を奪われる。
ちょうど行った日は天皇誕生日。
戦争の原因が、ひとつだとは思わないけれど考えさせられました。
展示は香月が制作した順になっているので、「シベリアシリーズ」の間に『公園雪』など、絵本の1ページのような、やさしい作品もあります。
彼の故郷、山口県に「香月泰男美術館」があり、そのホームページを見ると、明るくてカワイイ絵や「オモチャ」と呼ばれるオブジェが出てきます。
「シベリアの画家」以外の香月を知りました。
展覧会は前期後期があり、後期も観に行こうと思います。
ロシアがウクライナに侵攻した今、「シベリアシリーズ」が現実として迫ってきます。
5.0
怒りも祈りも希望も表現されている黒の世界。
シベリアでの捕虜経験から描かれた作品は、静かに圧倒しながら地鳴りが響くように迫ってくる。
死が眼前にある日々の過酷さや心情は想像が追いつかないものの、少しでも理解したいと思わせる気迫がある。
シベリアシリーズについては作品ごとに画家自身の説明文が掲示されており、それが臨場感を増幅させ、いっそう心を動かされた。
圧巻のシベリアシリーズとは対照的に、身近な人物・植物・風景などを描いた作品は、画家の素直で優しい視線を感じられ、こちらも良かった。
期間後半の展示替え後に再訪したいと思う。
グッズ販売は、図録、ポストカード、ピンバッチ、ミニタオル、布バッグ、一筆箋、クリアファイルなどがあった。
5.0
香月泰男、何度観ても素晴らしい。
展示室内に作品をギュッと凝縮させたような配置でエネルギーがスゴイ。
何度もたゆたうように感じ入りました。
シベリアシリーズは全作同時ではなく前後期で展示替えあります。
美術館のレイアウトに制限があるせいかいくつかの重要作品が展示ケース内にあるのが惜しい。
映り込みがひどいし距離も結構あって見づらかったです。
露出展示も多いのでそこは気になりました。
何度も繰り返し観る価値のある作家です。
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