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自然から取り出された日本の色
紅花、梔子(クチナシ)、蓼藍(タデアイ)、胡桃(クルミ)、茜の根、紫草の根などを原材料として、自然の色彩を手本に鮮やかで美しい様々な色を取出し、自然の色を身にまとうことにより、災難から身を守ろうとし、また、移ろう四季の変化を身近に感じながら豊かに暮らしてきた古の日本人たち。
自然染色は、400程ある色の一つずつに名前を付けた先人たちの知恵と技、自然を愛でる観察眼や美意識などが、代々寺社の祭祀や古典文学により伝承されてきて今日あるものです。
色彩の豊かさは、古の日本人が自然を敬い、怖れ、憧れ、愛しみ、自然と共生しながら後世に遺してくれた贈り物、『美の結晶』だと思います。
奈良時代の人々の色鮮やかな暮らしに心を馳せながら、いつの世も平和や幸福を希求し、美しい色彩に自然を感じ、心安らかなることを切望する思いにも触れられる素晴らしい展覧会でした。