まさに陰翳礼賛
新版画が好きな私にとって心待ちにしていたこちらの展示を見に、三菱一号館美術館に3月中頃に伺いました。
小林清親が生み出した光線画という技法は、深い陰翳の中に江戸の情緒まで描き出しているような繊細さがあって、文明開花の熱気の裏…readmore
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最後の浮世絵師のひとりと呼ばれる小林清親が1876(明治9)年に制作を開始した『東京名所図』は、明治期の風景版画へ大きな変革をもたらしました。黄昏どきの表情や闇にきらめく光の様相を描いた作品群は「光線画」と呼ばれ、深い陰影により江戸の情緒まで捉えています。
このような視点は、失われゆく江戸の風俗を惜しむ人々の感傷や、それらを記録しようとする写真の意欲とも重なっており、同時代の浮世絵師たちが文明開化により変貌していく都市を、艶やかな色彩によって楽天的に捉えた開化絵とは一線を画するものでした。
明治末期に浮世絵の復興を目指した新版画は、その技術ばかりでなく清親らが画面に留めようとした情趣を引き継いで、新しい日本の風景を発見しようとしました。清親から吉田博・川瀬巴水らに至る風景版画の流れを、アメリカのスミソニアン国立アジア美術館が所蔵するロバート・O・ミュラー・コレクションの作品によって辿ります。
【FEATURE|展覧会レポート】
小林清親の「光線画」から「新版画」の川瀬巴水まで
―時代の黄昏時に変わりゆく日本の光景を描いた版画の世界
| 会期 | 2026年2月19日(木)~2026年5月24日(日) |
|---|---|
| 会場 |
三菱一号館美術館
|
| 住所 | 東京都千代田区丸の内2-6-2 |
| 時間 |
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| 休館日 |
祝日・振休を除く月曜日 但し、開館記念日の4月6日、トークフリーデー(2月23日、3月30日、4月27日)、5月18日は開館 |
| 観覧料 | 一般 2,300円 大学生 1,300円 高校生 1,000円 ※障害者手帳をお持ちの方は半額、付添の方1名まで無料。他の割引との併用不可 オンライン販売 通常前売 一般 2,100円 大学生 1,000円 期限付き平日限定チケット 1,900円(利用可能日2/19(木)~3/31(火)の平日、数量限定) 特別デザインチケット 2,900円(数量限定) トワイライト、通行手形 5,000円(会期中何度でも入場可能、数量限定)
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| TEL | 050-5541-8600(ハローダイヤル) |
| URL | https://mimt.jp/ |
新版画が好きな私にとって心待ちにしていたこちらの展示を見に、三菱一号館美術館に3月中頃に伺いました。
小林清親が生み出した光線画という技法は、深い陰翳の中に江戸の情緒まで描き出しているような繊細さがあって、文明開花の熱気の裏…readmore
3.0
・・・という評判を聞き、まさにわたし(初心者)向けであったらしい。 初心者なのでよくわからないけど。 清親も巴水もよかったし、今回知った吉田博という方の作品がとても気に入り、もっとたくさん見てみたかった。 子供の頃からなぜか水を描いたものが好きだったので、今回の展覧会は自分好みであった。… Read More
3.0
小林清親の作品が見たくて来訪。有名な光線絵以外にも、広重意識の構図の作品など色々見ることが出来ました。写真などもあり、当時の実際の風俗と合わせて見ることが出来て良かったです。… Read More
3.0
高橋弘明(松亭)の「伊豆稲取」「徳持」「根方の桜」が特に良かったです。建物も趣きがあり大変良かったですが、広くて迷子になりました(笑)お土産として、ポストカードやキーホルダーがあり、一定金額以上購入するとカードがもらえるようでした。コイン無しでロッカーも使えました。… Read More
3.0
会社帰りに、久しぶりに丸の内へ足を運びました。 今回の展示は急速に西洋化していく日本を版画で切り取ったもの。版画ならではの、少し滲んだような光の表現を見ていると、消えゆく江戸の気配を今のうちに書き残そうとした画家たちの執念のようなものを感じます。現実なのか、それとも誰かが見た幻想の世界なのか、そのあわいに迷い込んだような不思議な感覚を覚えました。 展示の主役である小林清親、川瀬巴水、吉田博の作品も素晴らしかったのですが、今回特に心を動かされたのは伊東深水の風景画でした。 恥ずかしながら、朝丘雪路さんのお父様であり、美人画の大家ということしか知らなかったのですが、今回目にした『近江八景』の色使いの美しさが印象に残りました。風景の中にある静けさが版画という手法を通じてより強調されていて、改めて「自分はこういう風景画が好きなんだな」と再認識するきっかけになりました。 会社帰りの丸の内で、日常から少し離れて静かな時間と向き合えたことは、自分にとってとても良いリセットになりました。… Read More
3.0
巴水、清親を中心に新版画作品、明治期の浮世絵も展示され、楽しめます。新版画は王道の作品、明治の浮世絵も含めまして、作品に希少性はなく、区立、市立等公立の博物館、美術館でこの手の展覧会はかなり破格の安さで開催されていますので、観覧料がかなり高いと感じました。… Read More
5.0
新版画というと川瀬巴水、そして吉田 博が著名ですが、それ以前に最後の浮世絵師とも呼ばれた、小林清親、その弟子の井上安治の光線画も、堪能できる展示になっています。その画風、題材は新版画と何ら違わず、近代化する明治の町並み、その中で失われつつある江戸の風情を抒情的に光と陰で描きます。スミソニアン国立アジア美術館のロバート・O・ミュラー・コレクションは、そんな光線画も高く評価して蒐集してくれていたことに感銘を覚えました。… Read More
4.0
写真による当時の風景を間にはさみながらめぐる 光と影、のコントラスト溢れる新版画の世界 小林清親の作品はモノクロ写真のコントラストを感じさせる 光と影の演出が美しい (川瀬巴水のコーナーは他と比べると人が少なくて見やすかったのだけど なん人少なかったんだろ) 写真という新しいカルチャーにより 表現方法を変えていった新版画の世界を たーっぷり楽しめる展示だった… Read More
4.0
江戸時代末期から昭和初期にかけての近代転換期の風景版画の変遷を、ワシントンD.C.のスミソニアン国立アジア美術館が所蔵するミュラー・コレクションを中心に、「里帰り」する「木版画(浮世絵と新版画)」と「写真」という二つのメディアの関係から捉え直す、という新しい試みの展覧会だそうです。スミソニアン国立アジア美術館の、日本美術コレクションの厚みも実感しました。 一応、私は新版画が大好き(特に巴水ファン)なので、この展覧会は見逃せない!! と前々から思っていました。会期は結構長めなのに浮世絵系では珍しく、「展示替」についての記載がなかったのですが、二度行くつもりで序盤というか始まってすぐの土曜の午後一でしたが、出かけさせて頂きました。入場制限がかかっていてなかなかに並んでいました。でも並び列の割に待ち時間はたいしたことなかったです。 内容は、「開化絵」から「新版画」まで、時代を追って紹介されてはいましたが、ほぼほぼ「清親」メインでした。他、浮世絵師から新版画のお歴々、三代歌川広重 (芳年・国周・それから暁斎もありませんでした) や、伊東深水・高橋松亭・井上安治・バートレットなどなどが、少しずつ並んでいました(五… Read More
3.0
スミソニアン美術館からの里帰りとの事だったが絵の状態はそれ程良くないし、最近の新版画ブームでよく見た感が有る。 写真と併せての展示は面白く、写真では難しかった夜景などを版画にしたアイデアは当時としては画期的であったと思う。 今回はちょっと物足りなくて残念。… Read More
5.0
清親さんから巴水さんまで、江戸、明治、大正、昭和と変わりゆく江戸を切り取られていて、儚さの中に温かさを感じる展示でした。 巴水さんが、「広重よりはどちらかと言へば、明治の小林清親の方が好きです」と言われたそうですが、巴水さんがそのように言われるのが分かったような気がしました。私はどちらも好きです。… Read More
4.0
東京駅辺り、夕方早めに仕事が終わり。 さて、どの展覧会に行こうか。アーティゾンのモネは当日券売り切れ、三井の伊勢物語は時間がない。そうだ、三菱の新版画がある、力まずさくっと観るのに丁度いい。こんなノリで立ち寄りました。 明治時代の版画、その後の渡邊庄三郎版元の新版画。ワシントンからの逆輸入で。 素直に美しいと思うし、既視感はあるものの、時々見るとほっこりします。 今回もそうでした。 まずは、明治期の版画。 小林清親の光線画や「武蔵百景之内」は、まとめてちゃんと見た記憶が薄い。夜景と火事。風景画は遠近混じる思い切り良い構図がモダンで格好いい。 井上安治の絵葉書サイズの細密画、几帳面な一点消失遠近法の駆使。 謎の人、小倉柳村は1点のみ、これは貴重。 後半は、新版画。 バートレットは、細かい黒の線描の凝りように目がゆく。1年前のうらわ美術館の新版画展ではサーフィンの作品とかがあり驚いたが、今回展示作の題材はそんな奇抜なものはない。 三菱一号館は、小さい展示室が多い。 本展ではそれを活かして、1室で1シリーズ完結という展示がある。これは、そのシリーズの世界観に満たされるので、うってうけ。 伊藤深水『近… Read More
4.0
入場付近は結構込み合っていました 清親では「神田八雲神社暁」 「武蔵百景之内 両国花火」などが好み チャールズ ・ウイリアム・バーレットはうらわ美術館で観たかも? このあたりから色合いが鮮やかになってきます 高橋松亭「蛍狩り」雪積もる椿の赤が可憐な「都南八景之内 市の倉」も好み 巴水や吉田博は定番の作品 巴水の「三菱の深川別邸の図」はお初かな? 現在の清澄庭園がそれだそうで 洋館 日本館は関東大震災で焼失してしまったそうです 井上安治の作品「鹿鳴館」ともども見学したかったなぁ 観覧料もかかるし新版画はパスでよいかも…と思われている方は3月18日~24日まで丸善丸の内本店のギャラリーで川瀬巴水作品が展示予定だそうです 無料なので 訪れてみたらいかがでしょうか 小企画展ジャポニズムの季節では 細かい細工の「草花文カトラリー セット」が素敵でした… Read More
3.0
タイトル通り、小林清親から川瀬巴水まで、つまり江戸末期から昭和初期の風景版画の動向を俯瞰する展示です。二部構成で、前半は小林清親を中心とした浮世絵的な作品群、後半は渡邊庄三郎が版元として制作した「新版画」という構成。 登場する主な作家は、前半が三代歌川広重、小林清親、井上安治。後半が高橋松亭、伊東深水、吉田博、川瀬巴水。これだけだとよくある展覧会で、実際、ほぼ見たことのある作品が並んでいますが、少し違ったのは、前半で版画と併せてほぼ同時期に撮影された「版画と似たテーマの写真」を展示している点。写真は手彩色の作品もあって面白く、版画と写真がせめぎ合っていた時代の雰囲気が伝わってきます。 一方、スミソニアン国立アジア美術館の所蔵品の里帰りということで多少は期待したのですが、絵についてはあまり発見はありませんでした。保存状態や発色が特別良いというわけでもなく、里帰りならではのありがたみは薄い印象です。唯一、謎の作家として話題になった小倉柳村の作品が1点あったのが救いでしょうか。その絵自体はそれほど印象深いものではありませんでしたが、2022年の太田記念美術館での展示で14点を見て以来、ようやく出会… Read More
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小林 清親《海運橋(第一銀行雪中)》明治9(1876)年頃 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Gift of Kazuharu Ishida
小林 清親《東京新大橋雨中図》明治9(1876)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection
小林 清親《大川岸一之橋遠景》明治13(1880)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection
小林 清親《高輪牛町朧月景》明治12(1879)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection
井上 安治《銀座商店夜景》明治15(1882)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection
井上 安治《鹿鳴館》明治14-明治22(1881-1889)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection
作者不詳《亀井戸の藤》1890年代 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art Archives, Smithsonian Institution, The Gloria Katz and Willard M. Huyck Jr. Collection
チャールズ・W・バートレット《神戸》大正5(1916)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection
川瀬 巴水《塩原しほがま》大正7(1918)年 スミソニアン国立アジア美術館
© National Museum of Asian Art, Smithsonian Institution, Robert O. Muller Collection 版元:渡邊木版美術画舗