4.0
心地悪さ、実は制作者の企いどおりなのかも
最近、単品での作品展示でお目にかかる機会がしばしばあるSIDE CORE。今回はまとまった個展ということで、やや身構えながら訪問してみました。
ワタリウム美術館の3フロアを使っての展示ですが、1フロアがちょうど学校の教室程度の空間でもあり、学園祭の展示に舞い込んだ気になります。雑然。
都市に向けられる彼等の視線や切り取り方、これは好きです。情緒性やイデオロギーに傾かず、適度な距離感。
一方で、そのベースの上に添加される表現の味付け、作為性やわざとらしさが、どうも私にはしっくりこない。彼らは表現に当たって「行動」することをモットーとしているので、何らかの作為が加わるのは頷けます。しかし、その作為の味付け具合は、観る側の私に、違和感・ザワザワ感・不調和・イライラ感といった感覚を喚起するのです。
コロナ禍で人が消えた街でのポルターガイスト現象と称した演出、首都高速トンネル内での汚れた壁に衣服を擦りつけながら歩く演出、地下空間描写(これは実に面白いモチーフ)でのスケートボーダーの華麗な疾走の演出、等々。シュールではあるが。
以上のような、不快感にも近い感覚を得て会場を後にしました。外に出ると、晴れた冬の夕方の東京外苑前の街並み、キレイです。そこでふと、気づきました。私自身の得た感覚は、どうやら制作者の企いどおりだったかもしれないと。
心地よい表層空間での心地よい行動vs心地悪い背後空間での心地悪い行動、そんな両面ひっくるめて都市空間を見る視点を広げてもらった気がしたのです。
継続してフォローしてゆきたい作家です。