
生誕120周年 サルバドール・ダリ ―天才の秘密―
横須賀美術館|神奈川県
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ダリを構成するもの
ダリの作品は、ヴィーナスの夢が有名、くらいの知識がなかったため、今回生い立ちから、シュルレアリスムグループへの参加や脱退、また当時の世界情勢について知りながら、それぞれの時期の作品を見ることができて良かった。私の中でのダリの解像度があがったように錯覚した。錯覚した、というのも、結局ダリの作品、特にシュルレアリスムの作品を観るとどうしても彼のことを知るにはまだまだ足りないと痛感するからだ。
第一章では、ダリは、亡くなった兄と同じ名前をつけられたという生い立ちを知り、彼の心情を慮った。実際、死の概念に囚われ続けたとのことで、ダリは悩み続けたのだなと思い馳せた。また母親を失うことで妹に執着するなど、身近な人物の死は、大きな影響を受けてしまうものだと、ダリの作品を観ながら感じた。
第二章では、シュルレアリスト・グループにいた人はどの作品が揃っていた。まさかここでキリコやミロの作品に会えると思っていなかったので、嬉しかった。しかしなるほど、去年のキリコ展鑑賞時、どこかの解説でキリコはダリに影響を与えた、と記載されていたことを思い出して、今回の展覧会に一緒に飾られるのも頷ける。
第三章では、ダリがアメリカにいた頃の作品がたくさんあった。ヴィーナスの夢は複製作品であったが、想像より大きい作品で驚いた。第一章、第二章で見かけた、柔らかい時計、燃えるキリン、甲殻類に引き出し…などこれまでのダリを構成するものを詰めるに詰め込んだ、ダリらしさ満点の作品だった。他にもビキニの3つのスフィンクス、ダンス:セブン・ライブリー・アーツより、など目を引く作品が色々あり、観てて飽きなかった。