【特別展】犬派?猫派? ―俵屋宗達、竹内栖鳳、藤田嗣治から山口晃まで―
山種美術館|東京都
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困ったときの山種頼み
昨年は植物画の展覧会が多かったが、今年は一転、動物をテーマの企画展があちこちの美術館、博物館で目白押し。
山種も堂々のキラーコンテンツ、ワンコとニャンコで勝負だ。まあ、それでなくても、ここの企画展にはハズレがないからねえ。
私みたいな田舎もんが上京し美術館巡りをするとき、食指が動くような展覧会がないなあと思えば山種に行っておけばまず間違いない。元は120%取れますから(笑)
今回の訪問時期は5月中旬、当展会期が始まって間もなくの頃。日曜の午後に来てみたら、なんとまあ客の多いこと。
年齢層も実に幅広い。これもテーマのおかげだろう。
私の主目的は竹内栖鳳《班猫》。昨秋の京都市美での栖鳳展には来てなかったから、一度は見ておきたかった。
猫の姿態をうまくとらえてるのは流石の腕前。鍛えに鍛えた写生の修練が結晶した名作じゃなかろうか。
猫を背後から狙って、振り向いて背中を舐めるとこを仕留めるなんて、並みの画家じゃ無理だろう。
でも聞くところによると、この猫の背中にハチミツ塗ったんだと。なんかこう微笑ましい執念だね。
ちなみに、班猫の班って字、斑の間違いじゃないかと思っていろいろ文献見たら、栖鳳が班としてたのでそのままにしてるそう。
ま、モデルの猫の模様も斑って感じじゃないからOKかな。
ワンちゃんは、おなじみ応挙&芦雪の師弟コンビの仔犬はやっぱり欠かせない。
若冲もそうだけど、鳥類や魚類の細密画の画風が、なんで犬だけこうなるんでしょ?
描く本人も孔雀やニワトリ描写で疲労困憊したときには、ユルカワモフモフの仔犬に逃避してたのかも。
にしても、彼らが描いた成犬を見てみたいと思うのは私だけか。
珍品は宗達《犬図》とか、作者不詳《洋犬・遊女図屏風》あたりか。
いずれも17世紀江戸期作品だそう。前者は頭でっかちで、ちと不格好。後者は黒犬でダックスフントみたいとの評が多いけど、ダックスフントじゃないよね。
耳が立ってるし尻尾もバサバサだし。何かの雑種かな?(雑種って最近は言わないことに驚き。ミックスなんですと。)
当展に出てた絵で私の好みは、龍子の《立秋》と《秋縁》の二点。いずれも飼ってた犬を描いている。
前者は庭の水鉢でセッターが水を飲むシーン、後者はカボチャとトウモロコシの葉陰に伏せたシェパードがこちらを見つめるシーン。
愛犬家だった龍子の眼差しを共有しているかのようで、庭に飛んでって撫でてやりたくなる。
犬派の私なので、猫画については若干気合が鈍るのは申し訳ありません。
でも国芳、玉堂、関雪、古径、土牛、御舟、そしてフジタと、ビッグネームの猫が並ぶ様は猫好きにはたまらんでしょう。
で、当展のラストになぜか山口晃の水墨画が出てくるわけだ。
日本画巨匠作品をこれでもかと出した後に、現代アートの人気作家をポツっと出すのは山種さんの得意技だけど、この《捕鶴図》、細密鳥瞰市街地の山口作品からは想像できない猫戯画だ。
鶴を捕まえようと企む猫たち。作戦練るやつ、斥候に出るやつ、そして鳥もちを先端に付けた長い棒を手に樹上の鶴に近づく実行部隊。
そんな昔話があるんかいと思うのだが、これ、どうやら山口さんが鶴と猫という二つのお題から即興で描いた「席画」なんだそう。
ほんまかいなというぐらい上手い。やっぱ藝大出は大喜利やらせても格の違いを見せつけるねえ。
明日の「新・美の巨人たち」は、山口さんと猫がテーマだそうで楽しみです。
山種の犬猫展、賑わってますので、当然カフェも満席ですぐには入れず。今回は10分ぐらい待ってやっと入れました。
このカフェは毎回、企画展テーマとコラボした和菓子が大好評を博してますね。カフェだけ利用の人っているのかもしれません。
いつも思うんですけど、ここに限らずどこの美術館カフェでも企画展半券見せたらなにがしかの割引とか、オマケとかあったら非常に嬉しいのですが。