TRIO パリ・東京・大阪 モダンアート・コレクション
東京国立近代美術館|東京都
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画家の人生に思いを馳せて
パリ・東京・大阪の美術館から集められた作品を同じテーマで見比べる展示会だが、個人的には単純に観たかった作品に吸い寄せられるように足を運んだ感じだった。
最初に出迎えてくれたのは佐伯祐三の『郵便配達夫』。大阪中之島美術館は佐伯祐三を核とした山本發次郎コレクションがベースとなっているので他にも素晴らしい佐伯の作品が展示されていた。『郵便配達夫』は佐伯が結核で外出することもできなくなるほど弱った状態の時、たまたま来た郵便配達人にモデルを頼んで描いた作品。『郵便配達夫』といえばゴッホが有名だが、ゴッホを尊敬する祐三の思いが彼を引き寄せたようにも思える。同年、祐三は亡くなっている。
パリ市近代美術館のユトリロも良かった。興味深かったのはユトリロの母親であるシュザンヌ・ヴァラドンの『自画像』を大阪中之島美術館が持っていたことだ。モンマルトルで画家のモデルをしながら自身も画家で、ルノワールやロートレックと浮名を流し、作曲家のエリック・サティに300通ものラブレターを書かせた女。ユトリロを育児放棄し、幼少期からアルコールを飲ませてアルコール依存症にさせてしまった女。息子より若い21歳年下の青年と結婚したあとユトリロに多くの作品を描かせ金儲けに走った女。そんな女が50代に描いた自画像は自身が描いても傲慢そうな顔だった。
今回一番観たかったのはモディリアーニの『髪をほどいた横たわる裸婦像』。挑発するような目でこちらを見ている。とても力強くてモディリアーニの裸婦像の中で一番好きだ。この作品が元々山本發次郎コレクションというのも興味深い。一旦、山發コレクションから売りに出されたが、最終的には他の山發コレクションの寄贈先である大阪市が1989年に19.3憶円で購入している。モディリアーニの他の裸婦像が2018年に172憶円で落札されているので「172憶か~」という思いでも眺めていた。
最後にもう1点。その存在はぼんやりと知っていたが日本で観ることができると思っていなかったヘンリー・ターガーの作品に出合えたのも驚きだった。若くして両親と死別し施設で育つが感情障害と虐げられ脱走。54年間病院の清掃員として働き、81歳で孤独に死んでいったあと部屋から見つかった『非現実の王国で』という物語と絵。ヴィヴィアン・ガールズという少女戦士が子供奴隷制を持つ軍事国家戦う架空の戦記物だ。奈良美智の作品の近くでうっかり通り過ぎてしまう場所にあるので是非気づいてほしい。
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