藤田嗣治 心の旅路をたどる―手紙と手しごとを手がかりに
アサヒグループ大山崎山荘美術館|京都府
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藤田の手紙を通して「心の旅路」がたどれます!
「アサヒグループ大山崎山荘美術館」という展示室が、「藤田の別荘か?」と錯覚してしまうほど、藤田作品と展示室がマッチしていることに、まず驚いた。そして、展示作品数は意外に多く、藤田の芸術家としての足跡を徹底的に、時代ごとに詳細に辿っていることにも驚いた。
更に驚いた出来事は、入場者に無料で配布される展覧会図録の素晴らしいこと!(これは、事件に近い)展覧会の内容をそのまま図録化しているのではなく、藤田の経歴を年代ごとに写真入りでわかり易くまとめた冊子。A5サイズ、全31ページ。これが無料配布とは太っ腹です。
展覧会は、展示作品の大半が「藤田の手紙」。藤田の手紙は細かい文字で縦書き、決して達筆とは言い難く、解読は困難ぎみ。紙面に文字がびっしり、びっしり書かれていて行間(空間)がほぼ無い。なかなか手強いものがあった。展覧会会場で、全てを読むことは無理だろう。
ただ、藤田の文字や書き方を見ていたら、もしかしたら、藤田は早口で、オシャベリで、話題が尽きない人だったのでは?と想像が膨らんだ。
なかでも感動的な手紙は、猪熊弦一郎宛のもの。手術を控えた猪熊を絵や言葉で励ます何通もの手紙には、友人を心から思う藤田の優しさがにじみ出ていた。ただ、ここで気になったのは、藤田が絵を描くスピード。おそらく、文字を書くようにスラスラと、思った情景をサラサラと絵にしてしまう人だったのではないか?という気がした。
展覧会は、藤田の手紙を通して、藤田という人物について勝手なことを考える時間でもあり、それが楽しくて仕方なかった。そして、どこにいても「自分の可能性を追求し続けることを諦めず、楽しみ続ける」ということの大切さも藤田から教わった。
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