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デ・キリコ展

デ・キリコ展

東京都美術館|東京都

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梶原一騎も浦沢直樹もキリコにやられた?

GW明け、5月の上野公園は、相変わらずインバウンダーであふれかえってる。
そして今度はこれに修学旅行生が加わって、とにかく都民じゃない多国籍人民および他県民生徒さんがたのるつぼと化している。
かくいう私もそれに加担するお上りさんであります(笑)

今回の上京観覧展のメインである大吉原展を見た後、国際子ども図書館でランチし、ミニ企画展見て、次なるお目当ての都美キリコ展にやって来た。
キリコというと、のっぺらぼう人間しか知らない私には、他にどんな作品があるのか、のっぺらぼうのバリエーションはあるのか、シュールレアリズムに果たした役割は何のか、等々一度はちゃんと見て知っておきたかったのが、主たる目的。
と、偉そうなこと書いてるが、要はのっぺらぼうがオモロそうという、はなはだ幼稚な好奇心からだ。

で、そののっぺらぼう。正式名称はマヌカンなんだそう。マネキンのフランス語がマヌカン。モデルという意味で覚えてたが、確かにマネキンは無機質で感情持たない人形だし、ファッションモデルさんも無表情のサイボーグみたいではある。
そしてそれが、そのままキリコののっぺらぼうにもあてはまる。表情を描かずに、見る者に勝手に想像してくれと丸投げしたのだ。
形而上絵画とはそういうことなのか。難解を通り越して無の世界に放り出されたら人は何を考えるのか。
キリコはマヌカンを描くことによって、鑑賞者を試したのかもしれない。

でも、そうやってキリコが繰り出すマヌカン見て、あーでもないこーでもないと思索に耽り、自分なりの形而上的解答を得た者がどれだけいるかは疑問だ。
ダダイストたちは絶賛したみたいだけど、その賛辞を聞いて共感得るかというとそれもまた形而上の世界だから、結局キリコが何を問うたのかは、常人にはわかるまい。てゆーか、人それぞれってとこだろう。

私がこれまで、キリコののっぺらぼう見て連想してたのは、ただ一つ。タイガーマスクに出て来た「ミスター・ノー」だ。
梶原一騎がキリコ画見てたのかどうかはわからぬが、あの虎の穴からの刺客はまさにマヌカンだ。
そして、もう一つ今回の展覧会見て新たに加わったのが。20世紀少年に登場する「ともだち」。
これは絶対に、MoMA所有の《予言者》のパクリ。浦沢さんもなかなか面白いとこに目をつけたもんだ。

よって、マヌカン見て何思うかと問われたら、「タイガーマスク」と「20世紀少年」というのが私の答え。
でもって、マヌカンにはルノワール風とか、ルネサンス風とか、これまで知らなかったバリエーションがあって、面白かった。

マヌカン以外のキリコ画もいろいろ出てたけど、マヌカンが吐き出すサイキックパワーにやられてしまうと、どれも物足りなく感じてしまう。
それほど、キリコ=マヌカンてイメージは強烈で、当展見てその思いはますます増幅してしまった。
マヌカンは絵で見てもいいし、私が特に気に入ったのは彫刻。小サイズのブロンズ製マヌカンに金メッキ施したやつは、実にいい。
海洋堂あたりがフィギュア出してくれたら、絶対買いたくなる。

キリコ展、都美ではまだまだロングランで続きます。
私が訪問したとき、会場には修学旅行の自由行動で来ていた3~4人の女子中学生グループがいました。
はてさて、いかなる感想を持ったのか、聞いてみたかったなあ。
高2の修学旅行で上野に来てパンダ見て喜んでた私よりか、はるかにMetaphysicalな生徒さんなのは違いないです。

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