山王美術館コレクションでつづる 横山大観・梅原龍三郎展
山王美術館|大阪府
開催期間: ~
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月曜に展覧会が見れる幸せ
当サイトに何回か書いてるが、地方在住者が都会の美術館巡りするとき月曜にやってるとこは誠にありがたい。
大阪の山王美術館もその一つで、定休日は火曜と水曜だ。
その月曜にやって来た。前回は京阪京橋駅からプロムナードなる屋根付き歩道だったが今回はJR京橋駅から。
南口出れば道路の向こうに川があってそれを越えてすぐが山王美術館だ。
美術館近くまで来ると、川沿いの道路脇でスモーキング中の皆様が大勢いて、ケムリが漂ってくる。
かつてのヘビースモーカーの私が言えたガラじゃないけど、禁煙じゃないならどこでも吸っていいってのは考えもんだね。
とにかく次回山王へ来るときは京阪電車側からにしよう。
山王美術館の入口は1階。2階の前述プロムナード通って来れそうだけどそれは不可能。必ず地上に降りねば入口にたどり着けないので要注意だ。
入場料は1300円、JAF割りきいて1000円。ここはJAFの割引率大で、かつて難波のホテル内にあったときはたしか1000円が半額になった記憶あり。
昨年京橋に移転したオープニング展覧会ではJAF割りやめてたが復活したみたいで喜ばしい。
今回のコレクション企画展は、横山大観と梅原龍三郎。日本画と洋画の巨匠が揃い踏みだ。
エレベーターで5階に上がってまずは大観から。広い展示室に並べられた作品は全20点。20世紀初頭の作品から50年代初め頃までの作品だが、やはり多いのはおなじみの霊峰不二。
まあ大観のライフワークというか、これがベースロードな職業画家ともいえるので市場に出てくるのを待ってたら必然的にそうなるんだろう。
私が好きな大観は、朦朧体の墨絵だ。今回出てたのは片手で足りるぐらいの点数だったが、大観の神髄はこれだと思う。
今回の白眉は《東山》だ。30年代の作品で霞たなびく東山連山を描いている。
彩色画より墨画が好みになってきた年かと、ややわびしくもなるが、こういう大観を見ると逆にスッキリしてリフレッシュできたりもする。
次は4階の梅原展示へ。全24点は打って変わって、明るくバイタルな洋画でエネルギー補給だ。
梅原絵画は、東近の常設展示なんかで単発作品を見るぐらいだけど、こうやってまとまって見ると日本人が描く洋画もここまでやれるんだと改めて思う。
それは梅原がルノワールに師事したことが最大の理由かもしれないが、そこからさらに自分なりの洋画解釈を加えて高みを目指した結果なんだと思う。
いいのはやっぱりバラの絵だ。厚塗りで豪快かつ繊細に筆を走らせる様が想像できる。
あと、キャプション見て、「デトランプ」という語句がわからなかったが、後半にちゃんと解説あってスッキリ。日本画の岩絵の具を膠やボンドに溶かして塗る手法だそう。
それで描いた《松と富士山》なんかは、知らずに見ても日本画感なく、梅原の研究成果だったんだね。
当館はコレクション企画展を年に2回ぐらいの長期間にわたって開催しつつ、常設展示室もちゃんと確保し企画展と同時公開しているのが好感度大だ。
梅原室から下の3階へ行けばその部屋で、今回は黒田、小磯、金山、安井、ルノワール、ボナールの絵画が25点、平櫛田中の彫刻が6点出ていた。
午前10時過ぎに入館してから11時半ごろに見終えるまで、私以外の客は数人。とにかく静かでゆっくりと鑑賞できるのが当館の魅力だ。
1階のショップ横には無料のセルフ給茶コーナーもあって、至福の鑑賞メモリーに浸れるのも嬉しいひとときだ。
大阪には最新の美術館が昨年来開業しつつあるけど、正統派はここだけだと断言する。
そのへんのことは当サイトの美術館感想欄に書いておいたので、ヒマならご一読願いたい。