
【特別展】花・flower・華 2024 ―奥村土牛の桜・福田平八郎の牡丹・梅原龍三郎のばら―
山種美術館|東京都
開催期間: ~
- VIEW387
- THANKS4
四季全ての花見ができる花・flower・華2024展
東京の桜が遅めの満開宣言された4月上旬、久々の山種美術館訪問です。
例年この時期に開催される花・flower展。美術館で所蔵する花の名品を一堂に展示する展覧会。
奥村土牛、荒木十畝、田能村直入、山口蓬春に菱田春草etc…近代の代表的日本画大家の作品ばかりで超豪華。
しかもお花見の花とは言え、春の桜だけでなく、夏の牡丹・紫陽花に秋の菊、冬の水仙と椿等、全季節の名品が並んでいて贅沢なラインナップでした。
写真撮影は1点に絞っていて、今回は奥村土牛の《醍醐》。お寺の白い土塀を覆うように薄ピンクの枝垂桜を中央に配しています。
薄ピンクの花弁は絵具と胡粉(=貝殻を使った白色の顔料)を塗り重ねており、質感があるのに樹全体の印象はなんだか儚げ。
そよ風にほのかな桜の薫りが漂うような、ゆらりとした薫風を感じさせる素敵な作品です。
この桜の他にも凛とした【木蓮】、【ガーベラ】、金地にピンクの薔薇という装飾的な小品【薔薇】など奥村土牛の良品が目を愉しませてくれます。
昼のゆったりとした空気を纏う【醍醐】に対して、正反対な印象を感じるのが静謐な大瀑布の絵が代表作の千住博【夜桜】。
こちらは針金のような三日月を臨む紫紺の夜空を背景に、見上げるアングルで満開の桜の大木が描かれています。
不安定な天候で強風の多い桜シーズン、通勤の帰宅途中に見上げる夜桜がこんな感じだったなとふと思いだしました。
吹き付ける風に舞う花びらと、大きくたわむ枝を見上げると、妙にソワソワ帰宅を急かされる気持ちになったものでしたが、同じ【桜】を描いているのに、こうも受ける印象が違うのが作家マジック。
もう1点、目をひときわ惹いた作品が、荒木十畝の【四季花鳥】1幅あたり183.5cm×85cm。
名前の通り春夏秋冬をそれぞれ一幅に描いていますが、これが本当に豪奢で明るく、デザインが装飾的でどことなくミュシャのポスターを彷彿とさせます。
特にお好みは【夏】。青の桐の花にオナガドリがとまり、芙蓉、ヤマユリが涼やかに咲いていて、複製画飾りたいですね。
荒木十畝は横山大観にも並び称された長崎出身、明治生まれの日本画家。
花鳥画を得意とし、山種美術館の他には出身地の長崎の美術館にいくつか作品が所蔵されています。
この他にも菱田春草の【牡丹】、横山大観の【寒椿】、前田青邨の【菊】など、百花繚乱の絵画のお花見が愉しめる今回の展覧会。
外の花も素敵ですが、厳選された四季の名花を一堂に集めた展覧会も贅沢な時間が過ごせます。
自分のお気に入り作品を選ぶのも一興かもしれません。
追伸:山種美術館の入口前階段の壁と床の大理石、日本橋三越同様、古代の貝の化石がチラホラあります。
アンモナイトもですが、マキガイやウミユリ(たぶん・・)の化石も見つかりますので、畑違いながら化石好きな方、探してみてるのも楽しいです。
また、事務局様への鑑賞券の御礼をこの場を借りまして申し上げます。
- THANKS!をクリックしたユーザー
- さいさん、morinousagisanさん、アバウトさん、karachanさん