特別展「海 ―生命のみなもと―」
国立科学博物館|東京都
開催期間: ~
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まるで海の中にいるかのような
海の生き物が大好きなので鑑賞しに行った。最初暗い照明の中突き進んでいくと、青くひらけた空間に入り、巨大な海の生物たちの映像や、ほとんど実物を扱った標本がまるで海の中を泳いでいるような演出だった。そう、まさに自分たちが海の中にいるのだと、錯覚するように。
鑑賞しているとスタッフの方が混雑回避のアナウンスをするのだが、それだけではなく、展示されている標本が実物であることをしっかりと教えてくれた。スタッフの方が言ってくれなければ、私はレプリカだと思い込んだまま素通りするところであった。
見所のひとつであるクジラの標本は実物をみると見上げるほど巨大で、圧倒的な迫力があった。しかし個人的に今回展示の仕方で面白かったのは、展示を黒潮に生息する生物と親潮に生息する生物に分断していたことだ。それぞれに生息する魚たちの種類であったり、プランクトンの大きさの差を対比しており、ユニークな着眼点だと思った。それまでの解説コーナーで黒潮と親潮について、文章や映像で説明してくれていたので、頭にすんなり入ることができた。
標本は最後の方にもあり、絶滅危惧種のホッキョクグマであった。海というテーマで海流や深海だけではなく、環境問題にも焦点を当てられていたので、楽しいだけではなく、考えさせられるような内容だった。生き物たちの身体や体内に侵食するプラスチックゴミや有害物質は、その生き物たち自身だけに影響を与えるのではない。それを摂取する人間にも影響を与えるということが視覚化することで、あらためて認識することができた。
美しいものを美しいと愛でる。ただそのためには、その美しさを守ることも大切なのだと感じた。
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