英国キュー王立植物園 おいしい ボタニカル・アート 食を彩る植物の物語
西宮市大谷記念美術館|兵庫県
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科学と芸術
私がキュー・ガーデンという言葉を知ったのは昨年のこと。
植物学者のスケッチが箱になったオリジナルのハンドクリームを購入した。
うっとりするようなマグノリアの香りと美しい絵に魅了され、
いつか本物が見たいと思っていた。
念願が叶って今回、原画の展覧会に伺う機会を得た。
原画を見てあまりの繊細さに驚くと同時に、
「そうなんだ、植物というものはもともとこんなに繊細なものなんだ」と納得した。
玉葱の薄皮の一本いっぽんの線、ツルの茎に生えた細かな髭、
オレンジの果肉、洋梨の皮の痛んだ傷、
張り裂けそうなほど艶やかな林檎の皮、
まるで計算されたかのように綺麗に並んだ葡萄の粒、
どれも本物に忠実で美しく生き生きしている。
あるいは絵本の挿絵を彷彿とさせる牧歌的雰囲気。
誰しも懐かしく感じるような穏やかさ。
それがただ芸術から起こったというのではなく、
移り行く時代とともに、科学の面から、経済の面から必要とされて、
これだけ美しい植物画が作成された歴史に感動を覚えた。
絵画の技術の進歩も大きな影響を与えただろう。
私は絵画の技術に疎いから、細かな違いは分からない。
展示場には一つひとつ丁寧に原画の表現法が提示され、
時代を追って進歩していく様子が見受けられる。
科学と芸術の結晶化が始まった時代の雰囲気が十分に楽しめる、
静かだけれども大きなうねりを感じる展覧会だった。
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