芸術家たちの南仏
DIC川村記念美術館|千葉県
開催期間: ~
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アカシアの雨が上がって
ミモザと言われてもわからないが、アカシアならわかる。
花見の時期のちょっと前ぐらいに咲く黄色い房状の花だ。最近はあんまり見ない。
3月に上京し、入ったカフェの前に咲いていたのを見て翌日着るTシャツの色に相違ないことを確認した。翌日は、DIC川村記念美術館に行く予定で、その企画展ではミモザ色のドレスコード割引があったから。
で、東京への出立前に黄色黄色と探し回ってあったあったと黄色いTシャツを引っ張り出して旅行鞄に詰め込んだわけだ。
3月18日土曜の東京は1日中本降りの雨で辟易したが、一夜明けた日曜はピーカンの快晴。京成上野から早朝の電車に乗って佐倉駅下車、無料のシャトルバスでDIC到着。
チケット売り場で胸元開けてTシャツ見せれば、見事200円引きだ(笑)
なんで黄色割引かというと、開催中の企画展「芸術家たちの南仏」展のメインビジュアルがマチスの《ミモザ》だから。
その作品に辿り着くのは最後の最後。まずは常設展示室から。
ここのコレクションは素晴らしい。レンブラントからロスコまで、著名作家の優品が続々と出て来て眼福ここに極まれりって感じ。
DICさんありがとうと、この場を借りて御礼申し上げる。客も少なく静かだし、遠路はるばるやって来てよかったと思う客は多かろう。
今回の常設展示にはピカソの版画が数多く出てて、お得感満載。ジョゼフ・コーネルのちっこい箱も、なぜか好きなんだなあ。
現代アートが並ぶ二階大広間もいい。テニスコートより広そうなだだっ広い部屋の床には何もなく周囲の壁に絵が掛けてあるだけ。
ウォーホル《マリリン》も3✕3の9枚並びの大迫力で待ってます。
そして展示の後半がいよいよ企画展だ。
「南仏」と聞いただけで、陽光降り注ぐ地中海の保養地とイメージする単細胞の私だが、これ、あながち間違っていませんから。行ったことないけど(笑)
出展作品見てたらわかります(笑)
前日の鬱陶しい雨の日に西洋美術館で「ブルターニュ展」見ただけに、その日の好天が当展を後押しくれたような気分になった。
キスリングのパリ発ニース行きの列車に始まり、セザンヌ、デュフィ、ドランと南仏絵画の連射で開幕。
途中、WWⅡからの避難あるいは収容地としての時代を挟んで、ピカソ、シャガール、レジェと当地を拠点とした作品が続く。
おいしいとこ持って行くのはやっぱりピカソだ。油彩《シルヴェット》、ドローイング《ジャクリーヌ》は私好みの「ちゃんと描いた」女性像。南仏にいたらヘン顔描く気にもならないのでは。
そしてエピローグがマチス。《ミモザ》は池田20世紀美術館から来たんだね。
あそこも温暖な伊豆なので、日本の南仏と言ったら言い過ぎかな。未訪問の池田美、温泉旅行兼ねていつか行ってみたい。
当企画展は、日本国内各地の主要美術館から来てる作品が多いのにも感心した。
特に県立や市立の美術館が多くて、南仏絵画の人気にはいささか驚いたと同時に、それらを集めてきたDICの学芸員さんの辣腕にも敬意を表する次第だ。
会場には、フランスの地中海沿岸部の地図があって、出展作品の舞台や作家の拠点がよくわかるようになってるのもよかった。
ブルターニュを目指す者もいれば、ニースやカンヌを目指す者もいる。
でもやっぱり、アカシアの黄色が似合うのは南仏だろう。
DIC川村記念美術館。「鄙にも稀な」という形容がピッタリの、一度は行くべき美術館です。
美しい池と庭園にも癒されますが、芝生や木々が緑になるのはもう少し先でしょう。
【3/27追記】
当展巡回あり。わかっているところでは
7月:宇都宮美術館
10月:ふくやま美術館
です。