歌と物語の絵 ―雅やかなやまと絵の世界
泉屋博古館|京都府
開催期間: ~
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ほのぼのやまと絵〜やっぱり戯画ギガって愉しい〜
6月下旬、ちょっともう初夏じゃなくて盛夏やん。。。な気温と日差しの中、初訪問。
観光客ひしめく京都ですが、東山のメイン通りから微妙に外れた場所に位置する泉屋博古館は土曜でもスルスル入館できました。
今回の【歌と物語の絵】は、主に住友財閥が蒐集・所蔵したコレクションの中から近世の人々の暮らしや気分を映し出す事をテーマに紹介した企画展。
来年の大河ドラマは【源氏物語】紫式部がヒロインなので、これから注目度がアップするのではと思います。
企画展スペースはワンフロアでコンパクト。2章立てのテーマです。
第一章:うたうたう絵=和歌をテーマに三十六歌仙の絵や和歌の短冊、舞台となった場所の屏風絵が飾られています。三十六歌仙の絵は、百人一首にも描かれているので親しみやすく懐かしい。。。
第二章:ものかたる絵=小説、物語、絵巻がテーマ。源氏物語や竹取物語の場面場面が描かれた屏風絵や絵巻が雅ですね。屏風絵では金色の雲が場面を区切って物語が展開する、日本美術王道な作風が並びます。情景描写がけっこう細かくて、見ているとどんな場面なのかが分かり、絵日記を見ている気分になります。
注目作は重要文化財指定を受けた【是害房絵巻】伝:土佐永春作 南北朝時代
お目当ての絵巻。勝手に鳥獣戯画セカンドバージョンの1つじゃないかなと思っている作品です。
平安末期~鎌倉初期作の高山寺所蔵の国宝【鳥獣戯画】より1世紀くらい後で、経歴不詳のやまと絵画家、土佐永春の作と伝えられています。
お話の主人公は是害房ぜがいぼうという天狗。人間じゃないです。名は体を表すように『害』があるあたり怪しいな~と察せられるように、あらすじは中国の天狗、是害房が日本までわざわざやってきて、自分は強いぞ偉いぞ!!とアピールしたのに、喧嘩を売ったら比叡山の僧侶達にあっさり返り討ちされ、面倒見のよい日本の天狗に介抱してもらって送別会まで開いてもらって感動しながら帰国するという話w
もう●年前、大真面目な解説上であらすじ聞いた時、うっかりほうじ茶吹いたのは懐かしい思い出ww
実物初お目見えでしたが意味不明なコメディはひたすら楽しいです。
鳥獣戯画のウサギ・カエルの全身動物じゃなくて、ちょっとアメコミ風味というか、手足は完ぺきに人間。
顔が鳥で、背中に翼が生えてます。しかもそれぞれの人物(?)の横に吹きだしみたいな言葉があって、漫画要素がより強くなっています。
勝手にやってきて勝手に暴れた外国の天狗に日本の天狗は面倒見が良いなぁとほのぼのしました。何百年も前からおもてなし精神が発揮されている。。。
もう少し細かな解説パネルがあれば尚良しですね。涼しいし楽しい絵巻がじっくり鑑賞できる企画展、お奨めです。
最後に鑑賞チケットで機会を頂いた事務局様に感謝申し上げます。
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