ジャム・セッション 石橋財団コレクション×山口晃 ここへきて やむに止まれぬ サンサシオン
アーティゾン美術館|東京都
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山口晃さま、サラサラと文字を書くような速度で絵を描いてますか?
山口晃氏といえば、緻密な「現在過去map」を思い浮かべるが、展覧会では様々な作品を通して氏の新たな魅力を感じ取ることができる。例えば…
①セザンヌ作品の「油絵画家の視点による分析」が最高に面白い。
②雪舟作品に見る大陸の「あの景色」の再現。
③立体作品も、その「感性」がお見事。など。
展覧会会場は、山口氏の「伝言」ともいえる「会場内スケッチOK」のパネルから始まる。スケッチの大切さ、スケッチの方法など、詳細を手書き(挿絵付き)でわかりやすく解説しているのだが、文末に「スケッチぐらいはフツーになって油絵で模写ができる位ようになると好いですね」と、難易度の高いことがサラリと記され、志のべらぼうに高い展示?と、入場前に不安にもなる。
ちなみに…タイトルの「サンサシオン」とは、フランス語で「感覚」という意味らしい。
言い換えると、「ここへきて、やむに止まれぬ、山口晃の“感覚”」展!と。
確かに、展示室内は、山口氏の2018年以降の作品からなり、その全体像は「止まれぬ状況」でもありました。
①セザンヌ作品の「油絵画家の視点による分析」が最高に面白い。
直筆(縦書き)挿絵入りの解説パネルも読みやすく(やることなすこと、全部好きでした)。なかでも、パネルにサラッと描いている《セザンヌの自画像》(石橋所蔵)をはじめ、挿絵がいちいち上手すぎて、見入ってしまいなかなか先に進めず。
②雪舟作品に見る大陸の景色を立体化
《アウトラインアナグラム》:その景色は圧巻でした。雪舟が家屋の窓から見たであろう雰囲気を損なわないよう、細心の配慮もされていました。
③立体作品も、その “感性” が素晴らしく。
手先が器用とか、発想がユニークとか、もはやそんな次元ではなく、難しいことを考えずに「立体作品」も作れてしまう “体質” のお方なんやろな…と、落とし所が見つかり、なんとかその場が動け…(あらゆる所で、驚愕の連続)
・モノクロ作品の《大屋圖》
素人目には、彩色作品よりも難しく感じてしまうけれど、どないなんやろ。
それから、もはや、氏が「見たままを素直に描いている」としか思えず。
見たものさえ描けない者にとっては、この完成作品の“感性”は、まさに驚きの境地。
アーティゾン美術館サマの山口晃展、もしかしたら、山口サマは、サラサラと文字を書くような速度で絵を描きはる?等々、様々なことを考えながら展示室に長居。
河鍋暁斎とダフってきたりもして、同じタイプの人が居てはりますやん!と思ったら、突然、気持ちが楽になり…再度、展示室を周遊。
絵画と立体の作品、緻密な下絵に、壮大な構想に圧倒され乍らも、山口氏と同時代に生きていることが嬉しくなる…という展覧会です。
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