神戸ファッション都市宣言50周年記念 特別展 「祝祭の景色 ~世界の結婚式~」
神戸ファッション美術館|兵庫県
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祝祭は「景色」のなかに
二部構成の本展はまず、私たちが「結婚式」と聞いてイメージする白いウェディングドレスからはじまる。ふつう、ウェディングドレスは煌びやかな雰囲気をまとっているが、たっぷりと白い生地が用いられたドレスの立ち姿は、圧倒的な華やかさというより(そういった要素はもちろんあるけれども)どちらかというと無骨な印象だった。それはたぶん展覧会タイトル「祝祭の景色」が想起させる空間性とのズレによるのだろう。白いウェディングドレスはそういった「景色」の中でこそ、輝く衣装なのかもしれない。
いっぽう、第二部で展示されている世界の伝統的婚礼衣装は、多様な色や造形のアクセサリーで飾り立てられ、必然的に文化的「景色」と連動して成り立つものだ。展示室にも、着飾ったマネキンに背景となる舞台が設えられている。祝祭的な光に照らされて艶めく純白のドレスと異なり、伝統衣装の装飾品や意匠はそれだけで人々の意図や願いを反映している。それゆえ婚礼をとりまく空気感が立ち上がってくるのかもしれない。世界の婚礼衣装について、ひいては日本の伝統衣装についてももっと知りたくなった。
くわえてレビューしておきたいのがコレクション展。プルースト『失われた時を求めて』の描写を引用しながら、アール・ヌーヴォーの優美なファッションを紹介している。文学と衣装、ブティックや社交場を印した地図などを相互に鑑賞することで、それぞれが立体的になっていくのがおもしろかった。特別展のほうでも何か婚礼の物語を引用してもよかったかもしれない、と思ったり。
コレクション展示室の一角には小企画としてジョルジュ・バルビエのイラストも展示中。華麗で妖艶な世界観が堪能できるのでこちらも注目。
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- morinousagisanさん