歌枕 あなたの知らない心の風景
サントリー美術館|東京都
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「歌枕」とは、和歌の題材とした日本の地名(名所旧跡など特定の場所)を指す。
タイトルの「歌枕」に対する説明がとても難しく、とてもわかりにくい展覧会…という印象を抱いてしまった点をとても残念に感じた。
「歌枕」とは、和歌の題材とした日本の地名(名所旧跡など特定の場所)を指す。この基本的な約束ごとが、人々に周知されて和歌に用いられた。そして、地名には特定の意味を含む(「吉野=桜」、「龍田=紅葉」、「吹上=菊」ほか)ものも多い。また、一つの言葉に二つ以上の意味を持つ「掛詞」(「松と待つ」など)や、和歌に見られる修辞法のひとつである「枕詞」(「ちはやふる」は「神」にかかるなど、特定の語の前に置いて語調を整える)などの言葉も定義の解説があれば、混乱を招かなかったのではないかと展示室で感じた。
一方、図録に掲載されている「歌枕一覧」は、web上の百科事典にも似通った内容が掲載されているため、「地名の持つ特定の意味」までを含めた(深めた)一覧として掲載してほしかった…という気持ちが強く残った。
展覧会としては、サントリー美術館にしては珍しく「素直に作品を楽しめない」考えすぎて混乱を招く展示であったという印象が強かったが、「第5章 暮らしに息づく歌枕」で一転した。むしろ、導入に工芸作品を配置した方がわかりやすかったのではないか…という思いもよぎった。
特に困難な部分は、特に解説の文字の量が多い「第2章 歌枕の成立」(細かい「かな文字」が記されている「歌切」の展示)であった。章解説の情緒さや、多過ぎる説明ががかえって難しくしていたようにも感じた。
・狩野元信画、近衛尚通詞《酒天童子絵巻》巻上
・狩野探信守道《井手玉川・大堰川図屛風》
・歌川国芳《百人一首之内 在原業平朝臣》
・歌川国芳《百人一首之内 源俊頼朝臣》
・古清水《色絵佐野渡形香炉》(どこで香を炊くのだろうか)
・与謝蕪村《奥之細道図》(盲目の琵琶法師の図)
・《唐物文琳茶入 銘吹上》(茶入の形がまるで菊の蕾のよう)
・《瀬戸茶入 銘広沢》(茶入の油薬の跡が、広沢の池に月を観るよう)
・野々村仁清《色絵柳橋図水指》
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