キース・ヴァン・ドンゲン展―フォーヴィスムからレザネフォル
パナソニック汐留美術館|東京都
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適当さ加減の心地よさ
この目で作品を観たかった画家。
画家の天性の性質によるものかと思わせる、一貫した明るい色使いに心が休まる。
その様なわけがないのだか、どこか、適当に引いた様な線が、こちらを気楽にさせ、心地が良い。
こんな線が引けたらな、こんな色が出せたらな、こんな形が描けたらなと感じる。
犬や馬などの動物が、いきいきと、ときにユーモラスな表情で可愛らしく描かれているのは画家が生き物を愛するからだろう。
とりわけ『パリのラ・ペ通り』は、1922-1923年の作品だか、登場する犬たちの微笑みがイラストチックで楽しい。
彼は犬が、特に好きなんじゃないかな。
女性画、美人画を長年手掛けた彼であるが、最も胸を打たれたのは、
『女曲馬師』という若き踊り子を描いた1920年の大作。
この作品が醸すオリジナルの迫力は印刷物で眺めたのではもったいない。
何度も、この油絵の前を行き来してしまった。
ダンサーが纏う衣装のグリーンが美しく、虚な様でいて眼光が魅惑的な両目の青も忘れ難い。
若きモデルは肌の露出が多いためエロチックでありながら、気品を滲ませずにいないのは、ヴァン・ドンゲン自身の中に、女性を賛美する思いがあるからか。
ダンサーの瞳と指先の美しさ、ショートカットの洒落加減は、絵っていいな、と改めて思わせる。
もし大きな屋敷に住んでいたら、すぐそばに置きたいくらいの作品。
ああ贅沢。
色使いの軽やかさと、彼が掴んだ時代の空気感を、観に、ぜひ、訪れてみていただきたい。
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