伝世の茶道具 -珠玉の住友コレクション-
泉屋博古館|京都府
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秋の京都「茶道具」第3弾 春翠さんは「きれいさび」がお好き
秋本番となると京都はドッと人が増えていて、ちょっと驚きました。
今回の展示は「茶道具」で、住友家に伝えられてきた茶道具、住友家が披いた茶会に用意された茶道具が展示されています。
住友春翠(友純)は、京都の公家、大徳寺家から住友家に入り、第15代ご当主となったお方です。文人趣味もありながら、当時の財界人同様に近代数寄者のお一人で、かの「佐竹本三十六歌仙絵」の「源信明」を入手されました。それが本展にも展示されています。ちなみに先に伺った北村美術館は「佐竹本三十六歌仙絵 藤原仲文」を、お近くの野村美術館は「佐竹本三十六歌仙絵 紀友則」をお持ちです。「佐竹本三十六歌仙絵」は、ご存じのように切断ではなく正確には”剝がされた”1枚を引き当てた人が持ち帰り、意匠を凝らして表装してあり、表装も見どころというところでしょう。春翠さんは、鰻谷にあった本邸を茶臼山(現在の大阪市立美術館辺りで、お庭の一部はお隣の「慶沢園」)に移し、こちらに茶室「好日庵」を移築し、また「知足庵」を建て、茶会を催しました。
12代当主 住友友親は、遠州遺愛の「小井戸茶碗 銘 六地蔵」を手に入れましたが、それをお披露目すること亡くなってしまいます。そこで15代春翠は友親の30年忌にこの井戸茶碗に合う取り合わせを揃えて追悼のお茶会をしたそうです。そんな春翠も自身の還暦を祝うべく準備した茶会は披かれることなく、三回忌の追善茶会に春翠愛蔵の「唐物文林茶入 銘 若草」や「小井戸茶碗 銘 筑波山」が用いられました。それぞれの茶道具に住友家人々の思いや歴史が繋がります。
「砂張舟形釣花入 銘 松本船」天下三舟のひとつです。京博で展示中の畠山記念館蔵の「砂張釣花入 銘 針屋舟」は「えらく大きな舟やなぁ」と思いました。そこが即翁さんで、シュッとスッキリな泉屋さんの「松本舟」はいかにも春翠さんのお好みのように思いました。「畠山記念館の名品」開催中にこの「砂張舟形釣花入 銘 松本船」を展示してくださってありがとうございます。
鴻池家、広沢家、広岡家に伝わる「紅葉呉器」を「浪速三名物」といい、この季節らしい 広岡家伝来「紅葉呉器茶碗」で〆。
泉屋博古館さん、中庭もあって大文字さんを観ながらお庭のベンチでお茶も頂ける素敵な美術館、流石に最近は訪れる方も増えています。
コロナ禍もあって、静かな展示室に妙に緊張感があり、それ故に作品リストにメモ書きする際の紙すれる音などが余計に気になりました。
前来たときは一人も並んでいなかった「日の出うどん」さんに長蛇の列が出来き、「紅葉の永観堂」さんも人出ごった返していました。
この日は泉屋博古館を後にして、野村美術館で「深まりゆく秋」後期「晩秋の取り合わせ」を拝見して、地下鉄バスを乗り継いで大徳寺へ。
日頃は非公開の塔頭「真珠庵」の「『曽我蛇足・長谷川等伯 方丈襖絵修復完成記念』特別公開」を観てきました。
住友財閥の助成で、修復を担当されたのは岡墨光堂さんでした。修復の展示もあり興味深く拝見しました。
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- BY morinousagisan