サーリネンとフィンランドの美しい建築展
パナソニック汐留美術館|東京都
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年譜とムービーで興味を深めたサーリネン
エリエル・サーリネンのことを知らずに行った展覧会。
小規模ながらパネル展示に留まらず、模型、再現CG、動画、部屋の内装再現など工夫が見られる展示内容でした。
パリ万博でのフィンランド館を始め、チラシにも掲載されていたポホヨラ保険会社の螺旋階段、フィンランド国立博物館、ラハティ市庁舎の階段、そしてヘルシンキ中央駅、いずれも実際に訪れてリアルで見てみたくなるような美しい建築の数々。
が、とりわけ私の興味をひいたのは、展示最後の年譜と会場外で上映されていた7分36秒のムービー「エリエル・サーリネン 不朽の建築の父」でした。
ムービーはサーリネンの孫によるもので、まずフランク・ゲーリーの登場に『何故?』と驚き、そして講師時代は有名建築家を招聘出来るほどのコネクションがあったことや、大きな紙に一気に都市を描き上げることが出来たという都市計画者として天賦の才能があったことなどのエピソード、締めくくりとして「仕事は精神を成長させてくれる鍵である」というサーリネンの言葉に、どんな職業に就いても持てるものを活かし、一途に熱心に取り組む人なのだなと感心することしきり。
しかし、年譜にはそんな仕事人間のようなサーリネンに興味深いラブロマンスがあったことが書かれていたのでした。
それは既婚者だったサーリネンがGLSの仲間ゲセリウスの妹ロヤに夢中になり、ゲセリウスは当時のサーリネンの妻に恋をして、やがてそれぞれのカップルは同じ日に結婚式を挙げたというもの。
このエピソードについては、図録でも紹介されていたことがFEATUREの展覧会レポートに書かれていたので、読んだ方もいるかと思います。
また、年譜には展示の説明では特になかった大きなプロジェクトや都市計画が頓挫した理由なども書かれていて、例えば国会議事堂計画案は豪華な建築はダメだと皇帝により却下されたとか、大ヘルシンキ計画は依頼者の死亡により打ち切りになったとか、カレワラ会館は資金難やアクセリ・ガレン=カレラの批判に遭い実現しなかったなど。
それでも仕事を受け続ける様に、サーリネンってメンタル強いなー 片山東熊なんて明治天皇に迎賓館を豪華すぎるとダメ出しされてからショックで体調を崩しがちになったらしいのに...などと思ったり、アクセリ・ガレン=カレラと言えばフィンランド館で「イーリスの間」のデザインした人なのに、かつての仲間から批判された原因って何なのだろう?と勘ぐってしまったりで、思わずじっくり読み耽ってしまうほどでした。
といったように、年譜やムービーなど自分でも意外なポイントでサーリネンに興味を深めてしまったけど、フィンランド建築の第一人者を知る良い機会になったと思いました。
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