ロンドン・ナショナル・ギャラリー展
国立国際美術館|大阪府
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コロナ禍でみる美術館展
○○美術館展を銘打った展覧会は、どのように鑑賞し楽しめば良いのか分からないと感じることがある。本展もその部類に入るだろう。
しかし「ロンドン・ナショナル・ギャラリー展」がイギリスという、いま新型コロナウイルスの猛威で逼迫した状況にある国からはるばる日本へやって来た展覧会だからだろう。行きたくてもいつそれが叶うかわからない、というこの状況下だからこそ、絵画はその作品世界だけでなく、それらが所蔵されている国の空気感もまとっているように一層感じられて、なんだかいつもとは違う新鮮さがあった。
そうか、これが美術館展かとしみじみ。
ともあれ、ナショナル・ギャラリーは「西洋美術の教科書」などと評されるように、充実した内容で魅せてくれる展覧会であることは間違いない。しかも世界初巡回の所蔵品展。
クリヴェッリの精緻で豪奢な画面、フェルメールのしっとりとした画面、ゴッホのエネルギッシュな画面などなど、実に多彩な作家作品がずらり。この多彩さがまた、それぞれの作家、作品、時代などの魅力を引き立て合っている。展覧会全体を線ではなく、点で見ても十分楽しめるだろうと思う。
選りすぐりの61点という作品数だからこそ、そこから感じるある種の物足りなさは、いつか本国で美術館の歴史にどっぷり浸かりながら作品と触れ合うという夢をみさせてくれるし、行った事のある人には、絵画を通じたひとときの小旅行にでもなるかもしれない。
会期が終了したら、この作品たちが日本の鑑賞者のまなざしと日本の美術館の空気感をお土産にしてくれていたら嬉しいなと想像したり。
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