TOPコレクション Don't think. Feel.
東京都写真美術館|東京都
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肩力ぬいたコレクション展ですが、実はすごい
当館の収蔵作品から五感を触発する作品を選んだ、短編小説集のようなオムニバス形式の展覧会、と謳っています。日本の写真アートの殿堂は当館。その真髄は当館のコレクションにある。そして、写真アート鑑賞の真髄は五感で感じることである。この理解があながち間違いでないのなら、本コレクション展は、日本の写真アートの真髄を語るような展覧会なのかもしれません。木村伊兵衛、土門拳の両大家は、今回はお控え頂いて、ですが。戦前の作家から、21世紀の現在進行中の作家まで。ごつい題材を、見事に肩の力を抜いて見せていて、これはあっぱれです。
タイトルの通りに、観た時のFeelを記録としてピックアップしてみます。
・北井一夫〈村へ〉:1970年代の作、低アングルで引いた距離から、その距離を埋める視点の近さが心に沁みる。やはりこれは名作だ。
・吉野英理香〈NEROLI〉:濃度高い色彩をネットリと収めている感覚が刺さった。
・植田正治〈綴り方・私の家族〉:砂丘を舞台とした演出たっぷりの終戦直後期の家族写真。良質のコメディー映画に通じる、明るく軽いユーモアに包み込んだ深い情愛が良い。
・川内倫子〈Illuminance〉:20余年前に木村伊兵衛賞を取られた頃、淡い光で日常を捉える正方形フォーマットの「うたたね」「花火」作品集が大好きだった。私には、川内さんは、ローライフレックスのスクエア画角で、時を止めたような明るく淡いスチル画像の人、という強烈な印象のまま、近年はフォローしていなかった。今回は、「横長」の映像作品と、彩度高い写真の展示。好きな作家の進化にキャッチアップしなきゃ、と思いつつ、正方形の呪縛は強い。
・田中長徳〈TODAY-東京〉、関口正夫〈日々〉:今は全て廃刊になった月間カメラ雑誌ですが、誌上フォトコンも含めて、チョートクさんや関口さんのようなスナップ表現は写真アートの主潮流のひとつだったと懐かしく思います。実は、印刷物ばかりでプリントをちゃんと見た記憶が乏しく、プリントの質感に惹かれました。
・後藤敬一郎:約90年前のシュルレアリスム的な図像が、ノスタルジックでもあり新鮮でもあり。このプリントは、オリジナルなのでしょうか、すばらしい。
B5判の作品リスト冊子に加えて、A5判のカラー版カタログ冊子を入館時に頂きました。さりげなく、ちゃんとしています。細部にまでDon’t think. Feel.の上質なエスプリを感じました。
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