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スペクトラム スペクトラム

スペクトラム スペクトラム

銀座メゾンエルメス ル・フォーラム|東京都

開催期間:

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そこで生まれる物語を紡ぐ

レンゾピアノの設計で知られる光があふれる空間は、その特徴からほとんどの展覧会がインスタレーション。
そのままでもかっこいい空間が、作品があることで表情を変えるのが魅力。

今回の展覧会タイトル「スペクトラム スペクトラム」から、デジタルアートなのかと思いきや、アーティスト名の中に ”マリー・ローランサン” がある。
マリー・ローランサンといえば、ピンクとグレーを基調としたパステルカラーが印象的な、ピカソなどと同じ時代を生きた女性画家。デジタルとは程遠い。
どういう構成だろう。非常に気になる。
あぁ、スペクトラム→電磁波→デジタルって勝手に私が勘違いしていただけか、
スペクトラム→(電波・光の)連続 のことかな。

展示概要をしっかり読めばいいものの、メゾンエルメスで行われる展覧会は無料。
(ハイクオリティなカルチャーを発信してくださりありがとうございます)
銀座駅すぐの好立地と、19:00まで(入場は18:30)と遅くまでやっていることもあり、
各展覧会を数回観に行くのが習慣になっている。
1度目は展覧会タイトルと作家名くらいで、意図的にあまり情報をインプットせず、直感的に感じることを目的に、
2度目以降は、概要を読んだり、作家の他の作品を調べてから。

疑問だった展覧会タイトルは、1度目の訪問で感じることになる。
会場内には明らかな美術作品と、何もないようにみえるフレームが垂れ下がっている。
フレームには、会場内に設置されているカメラの映像、展示作品とそれをみる人が映し出される。
映像は、今と今から少し前がある。それにより、鑑賞している自分をみることになる。
なんとも不思議。自分が作品をみている姿をみるのは初めてに近い。
なるほど、境界が曖昧になる。
反復とも連続とも違くて、曖昧。
短編小説集だと思っていたものが、実はそれぞれつながっていたような感じ。
作家の作品がひとところにかたまっていないのも曖昧さを助長する。

目当てのマリー・ローランサンの作品は2点。
入ってすぐのところにあるひとつ目が「花瓶の花」
静物画! マリー・ローランサンの静物画! めずらしい。
しかもガラスで覆われていないので、筆跡までしっかりみえる。
この花瓶、どこに置かれているのだろう。
静物画といえば、テーブルに置かれているものと相場が決まっているけど、
マリー・ローランサン特有の曖昧さが、そうでないのかもと思わせてくる。
しかもこの作品は、光あふれるこの空間の中では死角となる暗い場所に展示されている。
暗さがさらに想像を掻き立てる。
そんな作品から始まって、下のフロアを見下ろす光あふれる吹き抜けに移る。
吹き抜けからはこれから続く作品と空間を俯瞰してみられ、例によって映像がみられる。
画面に写っている人は、私からみられていることに気がついているのだろうか、
おそらく気がついていないので、羞恥心を感じつつ、
レンゾピアノ建築を空間体験できている喜びの方が勝ってしまっていつの間にか忘れている。

下のフロアに降りると、ふたつ目のマリー・ローランサンがある。
「天使たち」と題されたそれには、ふたりの女性が描かれている。
本当に天使なのだろうか、天使らしい光より、切なさを感じる。
堕天使? 影を描くことで光を表現した?
ここにも曖昧がある。
この曖昧は嫌なものではなく、真理だと漠然と思った。

数日経ってもこの「天使たち」が気になって仕方なかった。
マリー・ローランサンの絵は、パステルカラーなのに切なさをともなって、
いつまでも心に残る。

マリー・ローランサンの作品はどちらも撮影不可。
もう一度向き合いたい。
それもあり、2度目の訪問は、展覧会概要を読み、1度目を回想して臨んだ。

↓展覧会概要から↓
「本展「スペクトラム スペクトラム」では、《スペクトラム》という言葉に含有される振れ幅や共鳴を鏡のような道具として用いながら、展覧会を一つの小説のように捉え、真実と虚の〈あいだ〉 にとどまることのできる居場所として、密やかな室内のナラティブを生み出そうとするものです。」

なるほど、わたしは、みごとにナラティブを形成したのだな。

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