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みんぱく創設50周年記念企画展「点と線の美学―アラビア書道の軌跡」

みんぱく創設50周年記念企画展「点と線の美学―アラビア書道の軌跡」

国立民族学博物館|大阪府

開催期間:

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جماليات النقاط والخطوط

当展タイトル「点と線の美学」をアラビア語で書いてみました。Google翻訳って便利ですね。

民博には昨年、一昨年と過去2回訪れてて、その都度膨大な数の常設展示品見てはあまりの面白さに釘付けになり、結局途中から時間不足で後半を端折ってしまうという悪循環に陥っていました。

当館は博物館ですから、世界各地、日本国内から集められたありとあらゆる物品が所狭しと並んでいます。
それらは日々の生活あるいは年中行事の中で用いられるものがほとんどで、そこに絵や図柄が描かれたものや面白い形のものはたくさんあっても、それ自体が目的、すなわちアートを意識して作られたものはないといっていいでしょう。

そんな中、ある展示コーナーが非常に気になっていました。それは西アジアエリアの一画にあるアラビア書道の展示です。
アラビア文字なんて読めないし、ましてやそこに「書道」が存在するなんて思いもよりませんでした。
ただそのアラビア語が書かれた絵というか図というか、作品が実に美しい。こりゃまさにアートではないかと感じたのです。

アラビア語は右から左へ読むと言うことぐらいしか知りませんでしたが、その作品は単なる書写的文章ではないのはわかりました。着色文字もあれば大小のアクセントもある。図形に当てはめたデザイン的なものもあって、配置を無視した不規則性はなく整然と書(描)かれているので、ああこれがアラビア書道なのかと思ったわけです。

それが書道なら他にはどんな作品があって、どんな書家が書いているのだろうと興味が湧きましたが、日本国内でアラビア書道なるものに出会える場が民博以外にどこにあるのかなんてさっぱりわかりませんし、その機会も探して発見できるものではありません。
そうしたところに、民博さんがやってくれました。まさにアラビア書道をテーマにした企画展が開催されたのです。開館50周年記念展として、「民具」との二本立てです。

会場はいつものように本館最奥の企画展示コーナー。広くはありませんが、必要十分な展示スペースではあります。
展示は、アラビア文字の書き方、読み方の解説から始まって、「書道」としての歴史や現状、作家と作品へとつながっていきます。
まず、アラビア文字のまるきり初心者が知りたいのは、筆記具は何か?です。
答えは、葦または竹。書家はそれを自らナイフで削ってペン先を作り筆とします。先端は切り出し刀のような形で、そこにスリットを入れたり入れなかったりして、墨やインクの保水量を調節します。
墨と書きましたが、アラビアでも「書道」ですからね。字は黒いのがスタンダードです。当然、墨汁が使われるわけですが、日本みたいに墨を硯でするわけじゃなく、出来合いの墨液が使われ、人気はダイソー製であちらでは1本800円だそうです。紙は表面がツルツルしたもので、墨がよく伸びるようになっています。
葦筆ペンの先に墨を含ませ、幅広部で書くと太線に、エッジ方向に引くと細線になります。幅広部を短く引いて四角形とすれば、それが点となります。
映像も流れてたので、見事なアラビア文字の書法がよくわかりました。止めや払いも実に美しく、まさにそこには書道があります。
ちなみに、アラビア版の「書き方練習帳」みたいなものも展示してあって、子供の頃からきれいな字を書く躾もやられてることがわかりました。
字を大事にする国民って、ものすごく親近感がわきますね。

そして、アラビア書道の大家作品が登場してきます。会場には何人かの作品が出ていました。
その中には私が当館常設展で惹かれたサラーフ・アブドゥルハーレク氏やハサン・マスウーディ氏の特集コーナーがあり、その制作風景も映像で見ることができました。
一文字、あるいは複数個の文字を芸術に昇華させる見事な技からは、アラビア文字への深い思いがひしひしと伝わってきます。
文字は原型を留めているものもあれば、デフォルメされたデザイン画のようなものもありますし、色のバリエーションもあります。
しかし、それはレタリングとかカリグラフィとかフォントといった、単なる文字の変形ではありません。
まさにアラビア文字をモチーフとして表現されたアートであり、書道です。

日本人のアラビア書道家である本田孝一氏の作品《人類のピラミッド》は当展メインビジュアルです。青い三角形の中には美しいアラビア文字が墨書されています。
会場でもらった小冊子の解説によると、これはコーランの一節とのこと。右下から左へと文章が始まり上の段へと続いていきます。
三角形の最上部にはコーラン最頻出ワード الله があります。アッラーです。

アラビア書道はユネスコ文化遺産に登録されています。当然でしょう。自国の文字を愛する真摯なスピリッツがあるからこそ、そこから生まれた書の芸術は世界が認めるカルチャーとなったのです。
翻って、我が国の書道も同様に文化遺産登録への動きがあるようですが、およそ芸術とは呼べない前衛書道がある限り無理じゃないでしょうか。

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