ゴッホ展 家族がつないだ画家の夢
東京都美術館|東京都
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ただのゴッホ展ではない。画家にとって家族の重要性がわかる良い展示です。
最近見た展示・美術館の中でも非常に素晴らしかったです。ゴッホの企画展はそこそこ日本、東京では開催されている印象なのですが、
今回ゴッホの家族や、人との交流、受け継いでくれた人などにスポットライトを当てられてたコンセプトになっていたのが良かったです。
入るとまずは今回のコンセプトとザックリとした家族の関係図や、弟のテオ、その妻のヨー、テオとヨーの息子のフィンセントなどの歴史が簡潔に描かれており、今回の展示の見方がわかりやすくなっており。
展示スペースが章ごとにわけれており、まずはゴッホの初期の作品やジョン・ピーター・ラッセルが書いた肖像画、歌川国貞をはじめ影響を与えた作品や収蔵物があり、そのあたりの展示物だけでもまず貴重で嬉しい。
パリ・アルルなどでの変化していく絵画を順序だてて見れるので、如何に変化していったか、何に影響されたか、そしてそのスピード感が異常なことがしっかりとわかりやすくなっていくし、画家仲間との交流も垣間見えるのも嬉しいですね。今回 唯一の自画像もここで観れるが、中でもゴッホらしいタッチが良く出ていながら新印象派などの影響も感じられる鮮やかで温かみのある自画像なのでこれを観れる機会が頂けて嬉しい。そしてゴーガンどの共同生活を経て破滅し、崩壊し、サン=レミでの療養院で描かれた絵などが見れる。説明文では、弟テオの献身的なフォローや、ゴーガンなどの交流に関する記述がしっかりとされているのが嬉しい。
そしてゴッホの死後、後を追うように間もなくして亡くなったテオに変わり、ヨーことヨハンナが如何に補完し管理し、啓蒙に貢献したかがよくわかる。しっかりとした説明に加えて、家計簿までも展示してあり、作品のリストアップ・管理にいかに役だったかもわかり、その説明を受けると、ヨーの存在が如何に重要だたったかが伝わる。元々教師だったこともあり非常に才女だったのか、段階を踏みつつ、無暗やたらの画を売らないように抑制し、最終的に権威あるギャラリーに買い取ってもらうに至るなど、結果論ではあるが非常に商才があるのではないかと思うし、なんならゴッホの名がここまで世界に知れ渡ったのはヨーの功績ではないかと思えてくる。
さらにテオとヨーの息子で、兄の名がつけられたフィンセント・ファン・ゴッホが作品を相続し、管理のため財団設立、美術館の開館に尽力したことが説明され、ファン・ゴッホ美術館で収蔵するゴッホと交流のあったシニャックの作品や、ラッパルトへの手紙なども展示されている。
展示が終わると最後に、ゴッホの人生、家族の貢献などを交え、ゴッホの有名作を動かした映像が大きなスクリーンに美麗に映し出される現代っぽいイマーシブな空間が現れる。そこまで大きいわけではなく、ゴージャスではないですが、今回展示の無かった作品もここで見ることができ、特に今回のコンセプトの展示を見た後だと、テオとヨーに子供が生まれたことを祝し描かれたという「花咲くアーモンドの木の枝」が映し出されるとゴッホの悲哀と家族の絆を感じられひとしお感動してしますね。
最後はグッズ売り場になるのですが、非常に力が入っていて種類が非常に多くバリエーション豊か。絵画をそのまま映しだされたTシャツやクリアファイルから、可愛らしくアレンジされたキーホルダーやバッグ、さらにはミッフィー・サンリオ・すみっこぐらし・San-Xと超人気キャラクターとのそろい踏みのコラボレーションと充実。これを見ているだけでもなかなか楽しく、売り場自体とても広く、人数多くても混雑してなかったのも好印象です。
正直テオのことぐらいしかわかっていなかったので、ヨーと息子の貢献についてはあまり詳しくなかったので二人の貢献の大きさ知れたのは本当によかった。ゴッホ自体特筆して好き、という程ではなくが一気に興味と愛着が沸きました。
如何に画家にとって後世に残すためには家族や、継承する人が重要かがわかり、そういった点ではゴッホはつくづく恵まれていたと感じます。その一方、ゴッホのように売れず、悲惨な顛末の画家は世界にごまんといるだろうし、ゴッホのような碌に継承されなかった人もいるだろう、と思いを馳せてしまう。
SOMPO美術館にもある「ひまわり」をはじめ、「星月夜」「夜のカフェテラス」「医師ガシェの肖像」など有名作こそ少な目でしたが、展示の仕方・コンセプトの付け方でこんなんも魅力的に感じられ、凡庸にならず、ちぐはぐにならず大量にゴッホ作品が見れる良い展示の代表例のような素晴らしい企画展でした。