ウィーン・スタイル ビーダーマイヤーと世紀末 生活のデザイン、ウィーン・劇場都市便り
パナソニック汐留美術館|東京都
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ビーダーマイヤーに魅せられ、展示の妙を愉しめる、上質の良展
汐留での所要の合間に、ふと立ち寄り。
今年の秋冬の展覧会の中で、本展はノーマークでした。
が、どっこい、実に面白い。
19世紀の世紀末のウィーンというと、建築・絵画・工芸の総合芸術、クリムトや分離派、といった予備知識とともに、ウィーン・スタイルのデザインのイメージはありました。一方で、その更に100年前の「ビーダーマイヤー」の潮流、これに触れるのは初めて。この呼称自体、凡庸な様式、という自嘲的意味合いらしいのだが、今から2百年以上前に、かくも斬新でシンプルな造形デザインの工芸が存在したことに驚き、完成度や状態の秀逸さに目を奪われました。
何たるモダニズムだこと、惚れ惚れします。
時代とともに成熟する市民社会のうねりの中で、実用性・機能性・シンプルという美的感覚が、19世紀半ばには旺盛な装飾に傾き、そして世紀末に再度シンプルに回帰する。
両時代の銀器が並べられると、二つの時代の結びつきが明らか。
その百年の時の流れを切り取って比較できる、なかなか良くできた展示です。
20世紀初頭の「ウィーン工房」。ヨーゼフ・ホフマン、コロマン・モーザーの二巨匠の創設した工房の制作品が、ガラス、陶器、テキスタイル、家具等々と広がり、そのトータルデザイン志向に納得。そして、ダゴベルト・ベッヒェが後に参画してからは、数々の女性アーティストを登用して、シンプルな機能美から装飾性に転じてゆくが、その可憐で優美な意匠もまた素晴らしい。ホフマンのデザインに女性デザイナーの装飾が施されたコラボの陶器・ガラス器が数点あり、これは垂涎モノ。
こうして、ビーダーマイヤーを起点とするウィーン・スタイルの形成過程を見せるのを中心ストーリーとしながら、クリムトやココシュカ、マーラー夫人といった艶っぽいサイドストーリーも加えられ、観ていて同時代感がぐっと広がる。この辺りのジグザグしつつ前進するような展示構成の塩梅も、本展の面白さの要素だと感じました。ゲストキュレーターに参加されているムサ美新見教授のテーストもあるのかしら。
更には。あまり広くない当館の場合、絵画展では小さい壁が迷路のようになり時に鑑賞の障りになりがちです。今回は、置いて見せるモノが大半なので、迷路壁がなく、広々してとても観やすく快適でした。
出口にて、14分のビデオでウィーンスタイルを復習。このビデオも良し。
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