上村松園と美人画の軌跡
福田美術館|京都府
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上村松園のトリミング
上村松園のトリミング技術に驚いた。「雨を聴く」(これは嵯峨嵐山文華館に展示されていた)なのに雨が一切描かれていない。「美人観月」なのに月が描かれていない。女性の表情や視線で、雨が降っている、月が出ていることを表現している。その結果、画面がすっきりして女性をピンポイントで鑑賞することができる。
前回見たときより息苦しく感じなかった。おなかべこべこで鑑賞したからだろうか?
鏑木清方の紫や黒、伊東深水「狐火」のとろとろの白が本当に美しかった。この時代の美人画だと柔らかい表情をしているが、浮世絵の美人画もだいぶ表情が柔らかく見えるようになった。
今回の浮世絵は、この前芦屋で見た版画と違って肉筆画の展示だった。そして、女性の歯がはっきり描かれていた版画に対して、肉筆画では女性の歯が描かれていない、もしくは控えめだった(近代の美人画も歯を見せていない)。浮世絵には肉筆画と版画の2種類がある。版画は大量生産で庶民が購入するもので、肉筆画は一点もので富裕層が購入していたらしい。歯の描写の違いは、版画だと肉筆画に比べて歯がはっきり彫られるため目立つのか、それとも富裕層と庶民の女性の好みの違いが影響しているのか、どうなんだろうと思った。
甲斐庄楠音(かいのしょうただおと)目当てだった。「娘道成寺」、キャプションには「清姫の表情だけをクローズアップして、恋に狂ってその身を破滅させた女性の業の強さを強調」しているとあったが、よくわからなかった。そんなに恋に狂ったような表情には見えなくて、ふとした瞬間の素の表情を描いたように見えたのだが、近代の美人画には珍しく歯が描いてある。歯が気になって、何か引っかかるような、単純にあどけない表情を描いているのではないような感じがした。