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溜息モノの三岸好太郎空間
MOMATのTRIO展で観た《雲の上を飛ぶ蝶》、サックスブルーとアイボリーで上下二分割した情景に色とりどりの蝶が舞う幻想的な一枚に惹かれて、三岸好太郎をもっと知りたくなり、札幌まで来ました。この展覧会は、詩人安西冬衛と蝶で結んだテーマ、「男」の人物画のテーマ、これらを軸に所蔵品展として開催されているようですが、三岸好太郎氏の代表作をその下絵も含めて、見応え十分に堪能できるものでした。
訪問日は雷雨の日曜日午後。北海道立近代美術館の隣地、道知事公館の敷地エリアに立地する道立の美術館。かくも立派なシチュエーションで、略ほぼ貸切状態での鑑賞となり、申し訳ないほどのありがたさ。館内スタッフの方のホスピタリティの高さも感じました。
展示作品群について。そもそも三岸氏に惹かれて東京から訪れていることもありますが、もう興奮モノです。約10年の短い画業の中で、一年一年、まるで短い人生を予感していたのではと思わせるほど試行と変遷を遂げる同氏の作風変遷が、モチーフ毎に各展示室に纏めらていて、溜息が出ます。早世でなければどんな展開があったのだろうか、と思いを馳せつつ。そして、その人生を知るが故に、晩年における蝶のモチーフへの傾倒、幻想的な色彩、に儚さや哀しさを重ね合せて感じてしまいます。
ポストカードは《道化役者》を購入。この大きな作品の持つ主張は、白フチ付のテカテカしたカードではなかなか表出しきれないと思いつつ。