4.0
超細密!! 中世の知と美意識の結晶に触れられて、感動!!
印刷技術がなかった、中世ヨーロッパで、広く普及したし書物『写本』、に焦点を当てた展覧会です。
展示の中心となっている「内藤コレクション」は、これまでもちょこちょこ小企画展示などで? 目にしていたとは思います。でもこれだけ揃うと、もう圧巻、凄いとしか言えませんね。とにかく約150点、これほどの量で、何れも超細密でとても美しいです。展示されているものの多くは、『写本』を切り離した『零葉』という形のもので、もう本当に美術品そのものです。人の手で写されたとは思えないほどに整った書体、細部まで妥協のない装飾、色彩感覚。近づいてよく見ると、人の手によるゆらぎが感じられたり、書物によって丸みや縦横比も微妙に違っていることが分かったりします。一冊の写本を完成させるために、どれほどの労力と時間が費やされているのかと、想像するだけで気が遠くなりそうです。それからまた、美しいばかりではなく、装飾絵の中に登場する虫や獣や怪獣?異形のモノなど、色々な生き物も楽しいです。時代と共に美しさがどんどん洗練されていく様子も感じられます。本当に、中世の人々の情熱と集中力と根気に、また、知識と精神と美意識の高さとにも、敬服しきりです。装飾は、イニシャル/枠装飾/行末装飾/ドロルリー/パ・ド・パージュ/ミニアチュールなど色々で勉強になりました。分業もされていて、挿絵には有名画家も参加することもあったとか。そしてこれらは、使い込まれている様なのにもかかわらず、とても状態良く美しく保たれていることからも、人々からとても大切にされていたのだろうと思われます。
内藤裕史氏は医療の先生で、宗教や芸術や歴史の方ではないのですよね。氏は「一介の美術愛好家、美術ファンにすぎません」などとおっしゃっていますが、ここまで蒐集されるのは、また凄すぎます。展示内に氏のコレクションエピソードもありました。私も、多くの方に、この素晴らしい『写本』の世界を生で味わってほしいと思いました。
展示品は小さい上、書かれた文字や挿絵はさらにとても小さいため、見て行くのには結構時間がかかります。また、私のようにキリスト教の歴史や逸話に疎い者でも分かりやすいキャプションで、ありがたかったのですが、少々読むものが多くなって、更に時間がかかりました。夏休みですが平日昼時、さほど混雑はなく、ゆっくりしっかり観ることが出… Read More