5.0
動物に対する愛情が感じられる作品
印象の描く動物は何だか可愛い。彼の写生は絵だけでなく、関節の仕組みや特徴が書き加えられたり、実物の羽毛が貼り付けてあったり、対象に忠実です。写実的に描かれる鳥類は怖いものも多いですが、印象が描くと可愛い。表情が分からない虫やカニも可愛いし、雀や兎は当然可愛い。
印象が写生について書いた文章に「動く対象を全て描きとることはできない。適切に省くことで特徴が際立つように情報をそぎ落とすことが大切」という内容の記述があります。大事なものだけを取り出して描いたものが可愛く見えるのは、印象の目には動物が可愛く映っているからだと感じます。
そういう訳で、お子さんも安心して連れて行ってあげてください。「鶴の目、怖い」とか嫌がられることはないかと思います。学芸員さんが工夫したクイズもありますし、今時、千円を切る展覧会は貴重です。
堂本印象美術館は建物だけでなく、内装も印象がデザインを手掛けています。探検するようにドアノブや階段の手すり、館内の標識などを見て回るのも楽しいです(エントランス部分は写真撮影OK)。気候の良い時期は玄関前のテーブルで一休みするのもおすすめです。