5.0
企画の妙とコレクションの素晴らしさ
二人の写真家が、何を考えて作品をつくっているかがよくわかる、丁寧に練られたとても面白い展示に唸った。柴田敏雄の影や連続する物体、鈴木理策のピントなど、どれも興味深すぎてずいぶん長い時間をかけて鑑賞した。しかしやはりこの美術館のコレクションは素晴らしい。名作ぞろいで溜め息が出た。
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写真が19世紀に発明され普及し始めた頃と時を同じくして、絵画は印象派をひとつの起点として、それまでの伝統的な表現から大きな変革を繰り返し、そのモチベーションには写真の存在が少なからずありました。他方写真は19世紀半ばの誕生の頃より、美術作品として、記録的な目的ではない絵画的な表現が模索され、その意識はその後も現代に至るまで綿々と続いています。
現代の作家、柴田敏雄と鈴木理策の写真作品には、人間がものを見て表現するという、近代絵画に共通する造形思考が感じられます。このたびのジャム・セッションは、両作家がその活動の初期より関心を寄せ続けていたセザンヌの作品を起点に、現代の写真作品と絵画の関係を問う試みです。
展覧会は6つのセクションで構成されます。4つのセクションでは新作を含めた両作家の作品と石橋財団のコレクションとのセッションが展開されます。ポール・セザンヌのセクション、雪舟のセクションでは3者の作品の共演が行われます。柴田・鈴木両名の新作・未発表作品約100点を含む約240点と、石橋財団コレクションより約30点、計270点を超える作品で構成します。
柴田敏雄
1949年東京生まれ。東京藝術大学大学院油画専攻修了後、ベルギーのゲント市王立アカデミー写真科に入り、写真を本格的に始める。日本各地のダムやコンクリート擁壁などの構造物のある風景を大型カメラで撮影、精緻なモノクロプリントで発表、2000年代よりカラーの作品にも取り組み始め、その表現の領域を広げる。国内外多数の美術館に作品が収蔵されている。
鈴木理策
1963年和歌山県新宮市生まれ。東京綜合写真専門学校研究科卒業。地理的移動と時間的推移の可視化を主題にシークエンスで構成した第一写真集『KUMANO』を1998年に刊行。一貫して「見ること」への問題意識に基づき、熊野、サント=ヴィクトワール山、桜、雪、花、ポートレート、水面等のテーマで撮影を続け、展覧会や写真集により作品発表を重ねている。
石橋財団コレクションとは
石橋財団コレクションは、創設者・石橋正二郎の個人収集から始まり、その後、公益財団法人石橋財団によって引き継がれました。現在約 2,800点を数えるコレクションは、西洋絵画、日本近代洋画をはじめとして、西洋・東洋の彫刻や陶磁器、中国・日本書画にまで渡り、さらに 20世紀美術、現代美術にまで視野を広げています。
ジャム・セッションとは
ジャム・セッションは、アーティゾン美術館のコンセプト「創造の体感」を体現する展覧会です。アーティストと学芸員が共同して、石橋財団コレクションの特定の作品からインスパイアされた新作や、コレクションとアーティストの作品のセッションによって生み出される新たな視点による展覧会を構成します。過去から現代、次代へ向けての架け橋となるプロジェクトを目指します。今後も、毎年一回開催する予定です。
会期 | 2022年4月29日(金・祝)~2022年7月10日(日) |
---|---|
会場 | アーティゾン美術館 Google Map |
展示室 | 6階展示室、4階展示室内ガラスケース |
住所 | 東京都中央区京橋1-7-2 |
時間 |
10:00~18:00
|
休館日 | 月曜日 |
観覧料 | 日時指定予約制 3月1日(火)よりウェブ予約開始 ウェブ予約チケット 1,200円 当日チケット(窓口販売) 1,500円 学生無料 (要ウェブ予約)
|
TEL | 050-5541-8600 (ハローダイヤル) |
URL | https://www.artizon.museum/ |
5.0
二人の写真家が、何を考えて作品をつくっているかがよくわかる、丁寧に練られたとても面白い展示に唸った。柴田敏雄の影や連続する物体、鈴木理策のピントなど、どれも興味深すぎてずいぶん長い時間をかけて鑑賞した。しかしやはりこの美術館のコレクションは素晴らしい。名作ぞろいで溜め息が出た。
4.0
詳しい解説考察はともかく
柴田敏雄氏の写真はなんとも印象的だ
感動や決定的瞬間を誘うようなものではない
人によっては「なんでこんな写真を撮ったの?」って思っちゃうかもしれない
でも、一枚一枚展示された作品を見ていると
「こういう風景に出合ったらシャッターを押したくなるよね」
ってそう感じてしまう。
面白い。ひたすらに面白い
鈴木理策氏の写真も美しく楽しいものであったが
個人的な好みとしては柴田敏雄氏の作品のほうが
趣味にあったのか強く印象に残っている
流れる水やコンクリや田園の風景が
規則的に並ぶ幾何学的な連続的な景色として切り取られる
何でもない普通の風景が
なんとも違った異様なもののよう見えてしまう面白さ
写真の展示は久々だったのだけど
思った以上に楽しめる展示だった
5.0
ジャムセッション、とても良かったです!
初めて作家2名です。
藤島武二、モンドリアン、モネ、クールベ、セザンヌ、マネ、ボナール、雪舟など
ゾン美の名品と呼応感応しているかのような写真群の並びが素晴らしい。
刺激的だけど風通しの良い心地よい展示になっています。
ここではないどこかに連れて行ってくれる展示良いですよね。
館蔵品を新鮮に魅せられるミュージアムが今後リードしていくのでしょうね。
オススメします。
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