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上野リチ・デザインの多彩な魅力
上野リチのデザインは手描きのぬくもり感が特徴的だと思う。上野リチのデザインから感じる可愛らしさときらびやかさは、子どもが自由に絵を描いた結果あらわれた豊穣で贅沢な世界観と似ているような気がする。だからどこか懐かしく、それでいてみずみずしい。また展覧会でも辿られるように、リチが第二次大戦中にも変わらずデザインを続けていたことを思えば、こういったデザインが実はバイタリティ溢れるものであることも実感できるのではないだろうか。
リチ自身の姿やそれぞれの時代を感じさせるモノクロ写真が施された展示ケースが室内中央辺りに設置されており、それが年表のような役割を果たしているようにみえる。一方、それぞれ色とりどりの模様や柄が鮮やかな、額装されたデザイン画が壁沿いに並んでいるのも華やかで楽しい。作品にはタイトルや解説等はついていないので(作品リストで確認可能)、純粋に模様と色彩のハーモニーに身を委ねて楽しむとよいだろう。