5.0
見入りて動けず
午後は日差しもあり、冷え込みの中もあたたかな陽を感じながらお庭に入ると、ご高齢のご婦人がお二人、薄茶を楽しんでおられて、床几台の毛氈の赤色に早速少し気持ちがふわりと上がります。
伝 紀貫之 高野切、何年も前に新聞の鑑賞コラムで能筆家の書について読んだ折その名高さは心に記しましたが、ここでお目にかかれるとは…。美しさのあまり見入ってしまい、ガラスすれすれに自分の鼻の上マスクが当たりそうになりながら展品の前から暫く動けませんでした…。このかなの流れの優しさよ…幸せに鑑賞させていただけました…。
ニ階は茶道具がさまざまに。
棗の夜桜がこれまた深い良い色で思わず腰を落として真横からも拝見しました。浮き上がる模様にここでもまたため息でした。
一人でふらりと行くのも気軽に駅前のこちらの館、大きさ、静けさ佇まい、とても素敵で毎回楽しみにしていました。本展後は施設工事で当面お休みになるとのことですが、再開の日が心から待ち遠しいです。