4.0
色でめぐるブルガリの世界
東京では二つのジュエリー展が同時に開催中だ。その一つ、ヴァンクリ展も鑑賞した目から見ると、本展の趣向はジュエリーそのものの優美さというより色彩の威光だ。ヴァンクリ展での可憐で軽やかな宝飾品の輝きとは対照的に、さまざまな色の宝石を用いたブルガリのジュエリーは重量感や奇抜さに溢れていて刺激的な印象だった。本展の最後を飾る《コンバーチブル・ソートワール=ブレスレット》はとりわけ贅沢な多彩さと重厚感を誇っている。鱗状の会場デザインも特徴的で、ブルガリにおける色彩という抽象度の高いテーマを探求する本展と呼応しながら、まるで鑑賞者が屈折を続ける光線であるかのように、ブルガリの色彩美学の世界へと誘ってゆく。
全体として、バラエティー豊かな華美なジュエリーが多数鑑賞できて満足感がある。とはいえ本展のテーマである色彩の理論や象徴性といった切り口は、ブルガリの歴史性や特質を感じさせるには大雑把すぎる視点のようにも感じられた。「色彩の魔術師」と呼ばれたブルガリを、ブルガリの作品を用いてそのまま「色彩」で語ろうとすると、どこか同語反復で一般論的にも思えてしまう(私自身はブルガリに詳しいわけでもなかったので、取っ掛かりとしてはそれでいいのかもしれないけど)。






