4.0
行き場のないモヤモヤ感を幾重にも味わう、活きている現代アートの刺激性
コレオ(コレオグラフィー)という言葉に馴染みがなく、「日常のコレオ」の本展タイトルからは、どうもイメージがわかない。でも、開館30周年記念展と謳っているからには、良く練られた密度高い展覧会のはず。そんな期待感で臨んだ本展です。
全体として。現代アートのド真ん中(そんなものはきっと無いのだろうが)、との感想です。巨匠化し殿堂入りしたようなモノではなく。まさに今、ここにあるアート表現、です。
作品数は30程度、日本と海外が半々。海外作品は、ほぼ発展途上国。
なので、必然ではないのでしょうが、社会の歪、もどかしさや鬱屈、抑圧への微力な抵抗、マイノリティ、といった主題が次々と展開されます。
また「日常」と題しているように、全作品を通して、声高な叫びはない。むしろ、意図的なローキーであったり、没入感や娯楽的要素の寓意によるアプローチであったり。そこから鑑賞者は、行き場のないモヤモヤ感を幾重にも味わう。これこそ、今活きている現代アートの刺激性だと思いました。
印象的だった作品。まずは、1Fフロアから。
・サリセティアティ&センディ《振り付けられた知識》:インドネシアの若者が日本の介護事業に従事すべく実習教育を受ける映像などのミクストメディア。現地の若者が、日本文化の習得として無表情にラジオ体操をする(私の会社でも実例あり)映像、グローバル化の足元の実態はなんと植民地的なことか。
・FEMEME《THORNITURE》:蛍光色のケバケバしいエンタメ空間。ドリアンをネタに、ミュージックビデオやLPレコードジャケット、巨大ドリアンオブジェを造営する。陽気な活力と根底の空虚感が、面白おかしくせめぎあう。
次にB2フロアでは。
・CAMP《ボンベイは傾く》:屏風のように折られた7枚の大画面に映される、ボンベイの街並みの映像。開発と停滞・貧困が同居する都市空間を淡々と綴る。この淡々さが、抜け場の見えない社会構造を、静かに残酷に切り取り、訴求する。
・シルバ・グプタ《リスニング・エア》:最も印象的だった作品。暗い部屋に吊るされた、多数のマイクロフォン型スピーカーから流れる合唱。歌声も、マスゲームのように動くスピーカーも、霊感を呼び起こすような没入感がある。
・サンピタック《マットと枕》:吹抜天井の東現美名物の大ホールを与えられたのは、20畳ほどのゴザ敷の床と、そこに積まれた沢山の… Read More










