5.0
鉢の中身
らくびじゅつかんと読む。入り口でスリッパに履き替えて入館。展示室へ通じる黒い引き戸は結構重いので、気合を入れて開け閉めしなければならない。展示室手前のスペースからはお庭が見え、置いてあった竹の花器には、まだつぼみの花々が活けてあった。
焼き物と言えばお茶碗のイメージだが、蛤形の香合、扇形の食籠、瓜形の水次、栄螺形の水指、など可愛らしい形の焼き物がたくさんあった。それから、「色紙之絵赤樂茶碗」は、折り紙の絵が描いてあって、タイルのような柄がモダンでよかった。
そして、「三彩瓔珞文鉢」。お茶碗や鉢には絵が描いてあるため、胴の部分が見やすいように展示してあることが多い。しかし、この作品は鉢の中身(「見込み」というらしい)が真上からよく見えるように展示してあった。その鉢の見込みはというと、底に灰色が溜まっていて、それ以外は深い緑色で、絵が描かれているわけではない。しかし、その緑色が風に吹かれている木々のように見え、いつまでも見入ってしまった。このように、鉢の見込みを抽象絵画を見るように鑑賞できるのだというのが驚きで、新たな発見だった。