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日本一庭園の紅葉と横山大観の紅葉
秋晴の11月の三連休。NHKの特集番組にも促され、足を延ばしてみました。高齢の老母を伴って。
遠くの山を借景に寸分の隙なく仕上げられた日本庭園は、毎朝開館前に、庭園部職員の庭師が入念に整備するらしい。美術館の館内から観ると、紅く色付いた楓が眩い。所々では窓枠が額縁となってピクチャレスクな情景の切り取り。見事です。
企画展の名画55選は二部構成。
まずその一つは、当館コレクションの中核である横山大観。
大作《紅葉》を中心に約20作。巨匠の描く、富士・太陽・海が主題の名作、佳作が並ぶ。
個人的には若かりし頃、大観のこの巨人・大鵬・卵焼き的な正当表現を権威的に思い、正直辟易と感じていました。時を経て、秋の好日に足立美術館という「場」でまとめて拝覧して。私の心待ちも変わり、斜に構えず正対して、味わうことができました。
もう一つは、近代日本画の著名作家作品約40点。
素晴らしいコレクションですし、関連テーマで数作品をまとめる展示も良し。
鏑木清方《紅》、大好きな上村松園《待月》、伊東深水《爽涼》の美人画が並ぶ一角は、息を飲むほど美麗。
菱田春草《紫陽花》。淡い色調と余白使いが絶妙。洗練された朦朧体で形取られる紫陽花は、花弁・葉がすべて前に向く虚構が実に自然、写実性とデザイン性が見事に調和する。MY春草のリスト入りです。
川端龍子の大作3点《春雪譜》《獻華》《水煙》が並ぶと、氏の作風の幅広さと技量に圧倒される。
榊原紫峰が複数点。よく存じ上げない作家だが、創設者足立全康の蒐集の情熱が窺える。画業円熟期の静謐な作品には私の食指は向かわずだったが、別室に展示の若い頃のエネルギッシュな作品は惹かれる。
安来駅近くの風情ある蕎麦屋で食べた割子蕎麦の味も含めて、老母とともに満喫しました。


