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世田谷文学館の雰囲気は味わえました
手塚治虫、石ノ森章太郎、藤子不二雄、赤塚不二夫等のいわゆるトキワ荘の漫画家位しか知らない高齢者なので、森薫も入江亜季も初めて聞く名前です。それなのになぜ展覧会に行ったかといえば、未訪問の世田谷文学館がどんな施設か興味があったからです。
定年退職後、暇つぶしのため街歩きと美術館・博物館巡りを始めて以来、たくさんの文学館や文士記念館を訪れましたが、世田谷文学館は初めてです。周辺にも未訪問の施設がいくつかあったので、街歩きを兼ねて出かけました。
普通、文学館や文士記念館は、作者の著書、原稿、書簡、生い立ち、書斎の再現、住居の模型等が展示されていますが、世田谷文学館は全く違っています。文学館と称していますが、過去2~3年では、萩原朔太郎展以外は、伊藤潤次、江口寿史、石黒亜也子、山下和美等の漫画家の展覧会ばかり開催されています。文京区のレトロな弥生美術館をモダンにした感じで、文学館というより漫画美術館といえる様相です。
前置きが長くなりました。肝心の展覧会は副題で「ペン先が描く緻密なる世界」と唱っている通り、両氏の絵は写実的、緻密で素晴らしく上手です。漫画作品の原画がほとんどですが、大きめのイラストもあり、正にアートといえる出来映えです。ゆっくり鑑賞したかったのですが、観客は10代後半から20代の男女ばかりで、大変混み合っていました。老人には場違いなので、人混みの隙間から作品をのぞき見る程度で引き揚げましたが、同時開催されていたコレクション展の「寺山修司展」はがら空きでした。「漫画家 森薫と入江亜季展」はゆっくり鑑賞できませんでしたが、世田谷文学館の雰囲気がわかり満足です。
初めて芦花公園駅で降りたので、世田谷文学館見学の後は近傍の蘆花記念館、大宅記念文庫(外観のみ)、賀川豊彦記念館を回り、上北沢駅から帰宅しました。楽しい散策ルートでした。