朝井まかてさんの最新の著書「類」に登場する、錚々たる画家たちの名前
作家の朝井まかてさんの作品が大好きです。
先日は、朝井まかてさんの最新の著書『類』が、第71回芸術選奨文部科学大臣賞を受賞されました。
いちファンとしては、嬉しいニュースでした。
この本は、明治の文豪 森鴎外の息子「類」を主人公として、森家を描いた物語です。
帯の紹介文を引用すると、
鷗外の子であることの幸福。
鷗外の子であることの不幸。
明治の文豪の家に生まれた宿命を背負い、
何物かであろうともがき続けた
森鴎外の末子、類。
その愛と、苦悩に満ちた生涯が
鮮やかによみがえる畢生の大作!
長編小説ですが、物語は予想外の展開を様々に迎え、リアルさと、コミカルなタッチと、優しさとあたたかさと悲哀があって、愛おしみながら読み終えました。
装丁には、タイトル「類」の下に、まるでルイ王朝を思わせるような、フランス語の「Louis」と名前が書かれているのが、どこか作品のイメージに合う部分があり、印象的です。
意外にも、この物語の中には、森類が師事した藤島武二のほか、フランス留学中に出会った藤田嗣治や岡本太郎など、さまざまな有名画家の名前が、さらりとたくさん登場します!
森類を取り巻く、著名な文学者や画家らの登場と森家との関わりは、文豪を父に持った一家ならではの夢のような場面も多々あり、刺激的です。
そして、この装画は、画家を目指して洋画を学んでいた、類によるものなのだそうです。
この装画の緑は、ブーローニュの森でも描いたのでしょうか?( ←あてずっぽうですが)
物語の世界に読者が、ぐっと近づける鍵となる、良い装丁です。
これから読まれる方のためにも、詳細は控えますが、文学好きでさらにアート好きな人には、貴重な、おすすめの一冊です。
ちなみに、朝井まかてさんは、葛飾北斎の娘、葛飾応為を取り上げた、「眩(くらら)」という小説も出されていて、装丁には、葛飾応為の作品である「吉原格子先之図」が用いられています。こちらもおすすめです!
※下記の記事でも紹介されています。
https://www.artagenda.jp/feature/news/20200415