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歌舞伎座の「絵看板」と、吉右衛門1周忌追善公演と、舞台美術。

2020年9月の歌舞伎座

 「秀山祭9月歌舞伎―二世中村吉右衛門1周忌追善」を見た。

 歌舞伎座に到着すると、まず正面玄関左右に設置されている「絵看板」が気になる。これは、毎月変わる歌舞伎の演目、芝居の見どころを描いた「絵画作品」でもあり、元禄年間に芝居小屋で鳥居派の「絵看板」を掲げて以来、今日まで続くというが、現代においては、絵画作品を屋外に設置!という大胆な、太っ腹な手法にも思える。もはや、単なる客寄せのためという本来の目的を超越したものがありそうだ。

 さて、歌舞伎であるが…今月は、二世中村吉右衛門丈の舞台で何度も拝見した「籠釣瓶花街酔醒」「鈴ヶ森」「熊谷陣屋」のオムニバス形式の上演は、故人を偲ぶ企画としてとても素晴らしかった。なかでも、療養中の中村福助丈による凛とした花魁八ツ橋の姿には涙が溢れた。

そういえば、最近の歌舞伎座は舞台美術は背景画が素晴らしい…と感じる。今月の歌舞伎でも長谷川等伯の《松林図》を彷彿とさせる背景が登場し、驚いた。舞台美術担当者の陰ながらの努力と抜群のセンスには驚かされることが多く、芝居を見る楽しみの一つとなっている。


プロフィール

moca
日本画、明治期の油絵、茶道具、工芸…展覧会から教わることがとても多く、展覧会には極力出向くようにしている。
子どもの頃、母に連れられて「モナ・リザ」展を見たことがある。どうしても私を連れて行きたかった母は学校を休ませて連れて行き…展覧会の中で、「モナ・リザ」の絵よりも、大勢の大人が絵を囲み、絵に見入る姿がとても印象に残っている。いつのまにか私も絵を囲み絵に見入る大人の一人になってしまっているようだ。
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