石川県立能楽堂の「能楽新世界 デジタル掛軸」
長谷川章氏(デジタルアーティスト)による「デジタル掛軸」が石川県立能楽堂で開催された。建築物に光を投影し“アート”を作り出す「デジタル掛け軸」なるプロジェクトを長谷川氏は長年続けられている。
今回は、石川県立能楽堂がその舞台となった。題して「能楽新世界 デジタル掛軸」。画像のように、「デジタルアート」を能楽堂に投影する。映像は、1分ぐらいで変化してゆく。この能舞台で「舞囃子」と「能 黒塚」を行った。超満員の客席は、どのような反応だったのだろうか。実に興味深いところである。私は、光の変化に気を取られ、能に集中できず、内容が頭に入ってこない点がとても問題であると思った。また、白い装束や頭(かしら = 毛)は光があたるとハレーションをおこし、とても見ずらい…等々、いくら探しても良い点が思い浮かばない。「能楽堂ジャック」とも言うべきこの企画、画像として「能楽堂の新しい姿」を見ると、惹きつけられるものがないわけでもないが、公演内容の評価としては厳しいものがあろう。「誰のためのアートか」という点において、特に考えさせられる時間となった。