春の江戸絵画まつり 司馬江漢と亜欧堂田善 かっこいい油絵
府中市美術館|東京都
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可愛くて、おしゃれで、かっこいい 流石の府中市美術館
「かっこいい」という、一見安直でとっつきやすい感覚を切り口としながら、中身は金子学芸員による膨大かつ充実度の高い研究内容。初めて洋風画を見る人にとっても司馬江漢と亜欧堂田善の魅力を余すことなく感じることができ、美術ファンにとっても、個人蔵の作品や長らくアメリカにあった江漢の《寒柳水禽図 》と、貴重な作品を多く鑑賞できるため心躍る展覧会だった。
展示会場入ってすぐの一章においては、琳派の画家たちや伊藤若冲、仙厓義梵らの絵により当時の日本美術の潮流を理解することができる。また、江漢、田善より一周期先の洋風画家である小野田直武、佐竹義躬の西洋式陰影法を使った絵画の展示、2章ではヤン・ラウケン、カスパル・ラウケン《人間の職業》、ヤン・ヨンストンの《動物図譜》といった当美術館所蔵の洋風画の模範元となった資料絵の展示もあり、外から江漢と田善の描く絵画のスタイルの輪郭を掴むことができる要素も含まれる。
肝心の江漢、田善の絵画は、陰影法やシックとも取れる暗めの色彩により本展覧会のタイトルにもあるとおりの「かっこよさ」を楽しめるだけでなく、人間の描写や懐かしさを感じさせる風景描写など、「メルヘンチック」や「かわいさ」、「ユニーク」と言った要素も感じることができ、キャプションでも度々使われる表現であった。絵画としての魅力が十分であるだけでなく、蘭学に始まり、様々な学問とのつながりをもつという作品の特殊さもまた興味深い。
展示内では絵を詳細に見ることのできる、司馬江漢の覗き眼鏡の体験や、展示室を出たところにある、亜欧堂田善の絵によるスタンプ、覗き眼鏡しおりを自分で作って持ち帰ることのできるスペースなど細かいところまでの工夫も楽しめるようになっている。子供向けのガイドブックもあり、美術展全体の丁寧さも流石の府中市美術館と言ったところ。
筆者は後期展示を鑑賞したが、前期とほとんど作品が入れ替わっていたらしく、前期も足を運びたかったと後悔。期待以上の満足度でやはり府中市美術館の春の江戸絵画まつりは間違いないと思わせてくれる展覧会であった。
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