澤乃井櫛かんざし美術館所蔵 ときめきの髪飾り―おしゃれアイテムの技と美―
細見美術館|京都府
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装いの解像度
明治・大正・昭和の小説は今まで読んできたつもりだったが、女性の装いに関しては流し読みしていたのだと思う。笄、綸子、セルロイド……字面としては知っているが、実際のところそれは何なのかわからない言葉が展示には溢れていて、キャプションを読んだりスマホで調べたりしながら鑑賞を進めた。実物を見たことによって、今度小説を読むときには、これまでと違う世界が立ち上がってくるような気がする。
それだけ女性の装いを軽視していたということなのだが、螺鈿細工や象牙、珊瑚、透かし彫りなど、日本の多彩な技術が結集して一つの櫛は形作られていた。また、櫛や簪のモチーフには、古典文学作品、様々な自然の風物など、身の回りのありとあらゆるものが取り込まれていた。明治時代にはガス灯の簪なんかも作られていて、身近なものに反応してファッションに反映させる生き生きした呼吸が感じられた。
また、その髪飾りを戴くべき髪型の展示も豊富だった。無結時代であった平安時代から、近世にヘアスタイルが開花していく流れがマネキンを用いてわかりやすく展示してあった。特に、島田を結う動画の展示が面白かった。まさか日本髪の横に張り出している部分に、ボーンみたいなものが入れてあったとは知らなかった。私は、夏目漱石「吾輩は猫である」や「永日小品」で知っていたけれど、同行者は、「日本髪のセットにこんなに時間がかかるとは」と驚いていた。
最後に、着物の展示もいくつかしてあったが、和装は「日本画を着る」という感じだなと思った。現代でも、Tシャツに絵画がプリントしてあるものがあったりするが、立体構造の洋服と違って、和服は平面構造だから、日本画そのものを着てる感じがより強くするんだろうなと感じた。
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