光琳 国宝「紅白梅図屏風」×重文「風神雷神図屏風」
MOA美術館|静岡県
開催期間: ~
- VIEW189
- THANKS2
2大巨頭、だけじゃない贅沢な日本アート
師走目前の温泉地、熱海。
11月下旬にも関わらず、ビックリな暖かさでした。
MOA美術館は熱海海岸特有の急峻な岩山に建つ贅沢な作品所蔵の美術館で有名です。
秋の行楽シーズンに開催された
【光琳 国宝「紅白梅図屏風」×重文「風神雷神図屏風」】展
は、タイトルの通り尾形光琳の傑作2点を中心にした展覧会。
しかし、行った感想としては【展覧会タイトル勿体ないんでは…】の思いがムクムク頭をもたげます。
展示品数は目玉の2点含めて約80点もあるし、重文がプラス3点に光琳の秀作がいくつもあるのです!
てっきり展示点数も控えめか、下手したらそれだけかもとの予想からは嬉しい誤算でしたが、今度は想定していた鑑賞時間全然足りないという焦りでクリア過ぎる展示ガラスに額をぶつけてしまいました。以前の訪問時にもなんか似たような事してたな・・・と反省。
勝手ながらお奨め作品をいくつかピックします。
①龍虎図 俵屋宗達17世紀
本紙のスペースいっぱいに描かれた龍と虎、1幅につき1体、2つセットになっています。
作者は光琳との師弟関係は不明ながら、琳派の祖とも呼ばれる程光琳に多大な影響を及ぼした謎の多い京都の工房絵師 俵屋宗達。
現代でもその抜群のデザインセンスを称賛される琳派に影響を及ぼす宗達は本紙も、周りの表具もトータルな美的感覚が素晴らしいです。
龍は墨で垂らし込んだ黒の叢雲の背景から三本爪の白竜がどアップのドヤ顔で虚空を睨んでいます。
迫力のある顔と力強く鋭い鉤爪に、画面から飛び出てきそうな迫力。
そしてもう1幅の虎は、お行儀よく坐り前脚の肉球のお手入れ?のようなポージング。
江戸時代の虎図あるあるですが、ニャンコを見本にしたのか身体も顔も丸々として愛嬌があり、ストライプ柄の四肢の足先だけが白足袋の状態。
肉球周りだけ白…これは可愛らしさ倍増でしかない。。。見た瞬間、その愛らしさにニマニマしてしまいました。
そして2幅とも絵の額縁にあたる掛け軸本紙周りの『柱』『中廻し』部分はブロンズを帯びた金色に輝き、モノクロの画との対比が抜群に美しいです。
②山水・寿老人図団扇 尾形光琳18世紀
30cmに満たない団扇の真ん中に、七福神の1柱、寿老人がちょこんと鎮座した可愛い団扇。
もう片面には山水図が描かれていて、この団扇を寿老人が見えるよう帯に挿したら、なんとも洒脱で愛嬌のある御仁に見えただろうと思います。
光琳作で残っている団扇は珍しいので、こちらも要注目作です。
③水葵蒔絵螺鈿硯箱 尾形光琳18世紀
光琳作の蒔絵硯箱といえば、国宝の八橋蒔絵螺鈿硯箱が思い浮かびますが、こちらも遜色なく素晴らしい逸品。
サイズは国宝の硯箱をほぼ同じくらいの大きさですが、こちらはより装飾的でモダンで、アールデコの工芸が連想されます。
ムラのない真っ黒な黒漆に、金の平蒔絵で流水線がくっきりと描かれ、水葵の花はキラキラした白の貝、まんまるにも見える葵の葉っぱは銅・錫の金属板が嵌め込まれて鈍い輝きを放っています。これぞ光琳のセンス真骨頂を実感する作品です。
他にも酒井抱一の「月に秋草図」や本阿弥光悦の「新古今集和歌巻」等、推したい作品一挙公開の展覧会。
充実した内容に鑑賞で満腹になりました。
ただ、観光の道中で時間が毎度のことながら押してしまい、急ぎ足鑑賞になったのが悔やまれます。
下調べもろくにしなかったのが敗因ですが、もう少し展覧会タイトルに含みが欲しかったなぁと思います。
大半が所蔵品なのでまたお目見えできる光琳作品。熱海来訪時の訪問推奨です。
【追記】これは車訪問での限定感想ですが、バス通り以外の熱海の道、狭すぎ。勾配傾斜ハンパない。エンストしたらお尻からの落下確実。
日光いろは坂に匹敵か、勝つレベルの急カーブです。車での訪問の方はお気を付けください。。。
- THANKS!をクリックしたユーザー
- karachanさん、morinousagisanさん