キース・ヘリング展 アートをストリートへ
茨城県近代美術館|茨城県
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アートとメッセージ
10年ほど前、たまたまベルリン・フィルの近くを歩いていた時、歩道上に赤と青に塗られた彫像?のようなものを見かけた。おそらく鉄でできた2つの人形がなんだか絡まり合っているようなポーズで、興味深かったため、とりあえず写真を撮っておいて、その場は立ち去った。帰国後調べてみたところ、キース・ヘリングの"The Boxers"という作品だったらしい。なるほど、あれは「絡まっていた」のではなく、「闘っていた」のか… ベルリンの地で見かけたこともあり、この「闘い」は「東西の冷戦構造」を意味しているのかな、とその時は思った。
この度「キース・ヘリング展」を鑑賞する機会を得て、確かに彼の作品には"Hiroshima"のように直接的に「戦争と平和」をテーマにしたものもあるけれども、それ以上に彼の死因にもなった「AIDS」に関する啓発を目的にしたものが多くあることに気付いた。そのうちの1つが、今回の展示にもあったポスター"Art Attack on AIDS"である。これは2つのヒトガタがお互い顔とお腹を殴り合っているという、まさに"The Boxers"と同じ構図の作品であった。ということは、ベルリンで見た彫像も「冷戦」のような政治的な「戦い」よりは、「AIDSとの闘い」を意味していたのか?それとも、同じ記号にそれぞれ別の意味を持たせているのか?
アートはメディアであるけれども、そのメッセージは受け取る側の解釈で様々となりうる。作者の側にどうしても伝えたいメッセージがある場合は、その解釈のためのコードを併せて送ることも必要だが、解釈の自由度が高い点がメディアとしてのアートの「楽しさ」でもあるのだから、「アートをポップに」したいという彼の基本理念からすると、そこはあえて見る人に任せるという方向性になるのかな、などとそんな当たり前のことを改めて考える機会になった展覧会であった。
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